ほーりーの野球日記

ほーりーの野球観察日記

自分の観方で野球を紹介します

野球の華は、やっぱり…

 

 みなさんは、「野球の華」とは何だと考えるだろうか。

 松井秀喜が放つような、弾丸ライナーでスタンドに突き刺さるホームランだろうか。鈴木尚広のような一瞬の輝きを放つ走塁技術や、アライバのような芸術的なフィールディングだろうか。投手でいえば、大谷のような剛速球や則本のような奪三振ショーだろうか。

 

私が個人的に「野球の華」だと感じた出来事が、今週16日の巨人対ヤクルト戦で起こった。

打席にはヤクルトの四番・バレンティンが立つ。それまで無失点と好投していた巨人の先発、菅野の148キロのストレートを完璧に捉えた打球はレフトスタンド上方の看板に直撃する、推定飛距離155メートルの特大ホームランとなった。映像を見てもらえればわかるが、レフトスタンドまで広く陣取ったジャイアンツファンの多くが後方を見上げていた。

この日、レフトスタンドにいたジャイアンツファンは何を思ったのだろうか。

「ちゃんと投げろ、菅野!」

「ふん、どうせ出会いがしらだろ」

贔屓にする球団のエースの球がこんなにも豪快に弾き返されてしまい、そう思う人がいるのはわかる。ジャイアンツファンの方々、心中お察しします。

ただ一方で、次のように思ったジャイアンツファンも、もしかしたらいるのではないかだろうか。

「人間って、こんなにボールを飛ばすことができるんだなぁ」

私の感想はまさに後者である。

 

◆間近で見た、衝撃の一打

話は少し遡って、2014年5月6日のオリックス対ロッテ戦のことをお話ししたい。

この日、筆者は京セラドームにてこの試合の観戦に訪れていた。レフト側の2階席、内外者の守備位置から応援団まで、球場すべてが一望できる特等席だった。

ロッテの荻野の非常に珍しいプレイボールランニングホームランで幕を挙げたその試合は、初回から大いに盛り上がっていた。

5回裏、打席にはこの日すでにソロ本塁打を放っているオリックスの5番ペーニャが立っている。ロッテの2番手・上野のストレートを、打った瞬間文句なしの打球で、ペーニャが打ち返す。高い弾道で上がった打球は、なかなか落ちてこない。滞空時間が長い。まだ落ちてこない。時間にしておよそ6秒ほどだろうか、バッターボックスから美しい放物線を描いてぐんぐん伸びる打球は、そのまま筆者が観戦する2階席を超え、左翼最上段の照明に当たり、フェアグランドに落ちた。慌てたペーニャが巨体を揺らして2塁に滑り込むも、ドームのルール上、この一打はホームランと認定された。

再びゆっくりとした足取りでダイヤモンドを一周するペーニャを見ていたそのとき、私は思ったのだ。

「人間って、こんなにボールを飛ばすことができるんだなぁ」

 

個人的には、やはり野球の華はホームランだと思う。

それも、滞空時間が長く、弧を描く、まさにアーチのようなホームランだ。

前置きが長くなってしまったが、今回ご紹介したいテーマは、ホームランの飛距離についてである。

 

◆ホームランの平均飛距離は116メートル前後

前述したバレンティンの推定飛距離155メートルのホームランがいかにすごいことなのか、まずはみていく。

以下は、データが古くて申し訳ないが、2010~2014年の5シーズンにかけて記録されたホームランの最長飛距離、最短飛距離、平均飛距離をそれぞれ示したものだ。これを見ていただけたらわかるともうお分かりだと思う。150メートル級のホームランは、一年のうちにそうそう出るものではない。上記表で最新の2014年シーズンに関していうと、その年に出たホームランの数は1361本、そのうち150メートル級のホームランはわずか2本だ。このことからも、150メートルのホームランがいかに超人的かということがわかる。ちなみに、先にご紹介したペーニャのホームランの飛距離は、後に「計測不能」として発表されている。

なので、ジャイアンツファンのみなさん、あまり気を落とさずに、「いいもの観れたな」と思って、後日会社や学校で自慢話にしてください。

 

◆柳田、筒香、大谷、昨今の特大ホームラン

せっかくなので、そのほかのホームランもご紹介したい。

まずは、上記表以降、2015~16シーズンで飛び出した特大ホームランからだ。それぞれ、そのときのスポーツ紙で発表された飛距離をもとに、特大と謳っても相違ないホームランをピックアップする。

2015年の特大ホームランの中でみなさんの記憶にもあるとすれば、横浜スタジアムでのソフトバンク・柳田のスコアボードを破壊した150メートル弾ではないだろうか。DeNAの先発・三浦のスライダーを、柳田の代名詞ともいうべき豪快なフルスイングで弾き返された打球は、そのまま横浜スタジアムの電光掲示板に直撃し、スクリーンの一部を破壊するほどに強烈だった。

2016年は、次の2人の選手を紹介したい。1人目はDeNAの四番・筒香だ。中日の先発・大野が投じた初球の変化球を強打し、140メートルと推定される打球は、横浜スタジアムの右翼席上段の「鳩サブレ―」の看板に直撃した。さらに驚くべきは次の打席でのことだった。前打席の勢いのままに強く振りぬかれた打球は、再び右翼席上段に向かっていった。この日2本目の特大ホームランは、横浜スタジアムの右翼スタンドを高々と超える推定飛距離155メートルの場外ホームランとなった。

2人目は大谷翔平だ。侍ジャパン強化試合のメキシコ戦、日本は7回に代打・大谷翔平を打席に送る。2ボールからの三球目、恐らく今後の大谷翔平史を語る上で欠かすことのできないほどの衝撃を日本中にもたらした、あの一打が生まれた。もうお分かりであろう。東京ドームの天井の隙間に入り込む、超特大二塁打だ。インハイ高めに抜けたストレートを強振した大谷と、それを見ていた観客、チームメイトは打球の行方を追った。だが、大歓声の中を割って進む打球は、忽然と姿を消した。どうやら打球はドームの屋根の隙間に入り込んでしまったようで、そのまま落ちてこなかった。大歓声がどよめきに変わる。異様な雰囲気の中、大谷はそのまま本塁に戻ってきたが、ドームのルール上、二塁打と認定された。なお、この一打は天井がなければ推定飛距離150メートル級のホームランだったとされている。

 

◆その飛距離は野球史に残る!記録的なホームラン

次は、野球史に残る飛距離のホームランだ。

ギネスブックには様々な世界記録が紹介されているが、ホームランの飛距離ももちろん世界記録としてギネスに認定されている。ギネスブックに載っている推定最長飛距離は、1960年にミッキー・マントル(当時ヤンキース)が放った193メートルで、実際に計測された最長飛距離本塁打は、同じくマントルが1953年に放った172メートルという記録だ。一体どういう体の構造をしているのか、このマントルという男は。

日本プロ野球で最長といわれているホームランは、2005年の西武対横浜戦で飛び出した、アレックス・カブレラ(当時西武)の一打だ。横浜の先発・三浦のカーブをまさにピンポン玉のように弾き返した打球は西武ドームのグラウンドから約60メートル上方にある左翼天井の通気口を直撃する、推定飛距離180メートルのホームランとなった。現在では、このホームランが日本最長とされている。いまでもその飛距離を示すボードが、西武ドームの天井に掲げられている。

そのほか、カブレラ以外にも過去には、1978年には中西太(当時西鉄)が放った平和台球場のセンターのスコアボードを超える160メートルのホームランや、1990年にはブライアント(当時近鉄)が東京ドームの天井にあるスピーカーに直撃させる170メートル弾など、飛ばし屋列伝は尽きない。

 

ホームランは、球場で目にした者だけが十割の興奮を感じることができる。それだけに、バレンティンのあの一打を見ていたファンを恨めしく思ってしまった。

今年もまた野球場へ足を運ぼう。その思いで、まずは今週末の厄介な会議を乗り切りたいと思うのであった。