ほーりーの野球日記

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柳田の三冠王は内川次第?

 2017年のプロ野球も、前半戦を終えた。

 オールスター戦では柳田が二日連続でホームラン競争を制し、内川とデスパイネがそれぞれ第一戦と第二戦でMVPを獲得した。パ軍では史上初となるMVPをホークス勢独占、柳田の二日連続優勝と、ソフトバンク選手の活躍が目立ち、現在2位につけるチームの後半戦の巻き返しを感じさせた。

 そんなホークスの前半戦最大の話題といえば、柳田の三冠王獲得への可能性だろう。前半戦終了時点で打率.327、23本塁打、75打点は、その時点でパリーグの主要打撃3タイトルのトップを走る。2004年の松中信彦以来となる三冠王への期待が高まる成績だ。

 しかし、長いプロ野球の歴史で7人(11例)しか成し遂げていないということを考えると、その困難さは明白だろう。実際、直近の松中以降を見るだけでも、「二冠」にとどまった打者は12人いる。

 そこで、松中以降の近代野球に生まれた「二冠王」とりわけタイトルを逃した打撃部門も上位だった=三冠王を獲り逃した打者を振り返り、柳田が三冠王を獲るには何の要素が重要なのかを、私なりに考察したと思う。

 

◆過去の「惜しかった二冠王」

 はじめに、松中以降に二冠を獲得した12人の打者の成績を振り返り、どの部門で三冠王を逃したかを見てみる。以下の通り、12人の打者が二冠を獲得しており、中でも下線の5人の打者があと一歩のところで三冠王を逃している。

 2005年、松中信彦  打率.315(3位)

 2006年、Tウッズ  打率.310(7位)

 2006年、小笠原道大 打率.313(4位)

 2007年、山崎武司  打率.261(27位)

 2009年、ブランコ  打率.275(14位)

 2009年、中村剛也  打率.285(14位)

 2010年、ラミレス  打率.304(11位)

 2011年、中村剛也  打率.269(13位)

 2012年、阿部慎之助 ホームラン27本(2位)

 2013年、ブランコ  ホームラン41本(2位)

 2015年、中村剛也  打率.278(12位)

 2016年、筒香嘉智  打率.322(3位)

 

 彼らはどうして三冠王を獲り逃したのだろうか。2013年のブランコのケースは、その年にバレンティンが日本記録となる60本塁打を放ったという結果を考慮しなければならない。

 2割台の打率で二冠に輝いた選手は、長距離打者としての典型的な成績で、打率を捨てて長打を狙った結果だということに、疑いの余地はないように思われる。ここではひとまず、ブランコを含めた「惜しかった二冠王」5選手だけで考えてみる。

 

三冠王とは勝負したくない投手心理?

 その前に、投手の心理を考えてみると、三冠王を獲る打者とはどのような打者なのかがわかるかもしれない。

 もし自分が投手なら、「三冠王との勝負はできるだけ避けたい。次の打者がそれほど怖くなかったら、その打者との勝負を選びたい」と、恐らくこう思うのではないだろうか。

 しかし、その次の打者が三冠王に負けず劣らず強打者であったなら、こう思うのではないだろうか。「三冠王にはきわどいコースを攻めた結果を歩かせても、次の打者も怖い」に変わるのではないだろうか。

 ここで私は、三冠王を獲るには、次の打者の成績も重要なのではないかと考えた。三冠王を獲るには後の打者の成績が重要と仮定して、2004年の松中と、それ以降の5人の「惜しかった二冠王」とでは、後の打者にどのような違いがあったのかを見ていくことにする。

 

◆注目すべきは次の打者の打撃成績

 ここで見てもらいたのが、次の表だ。ここでは、細かな数字はひとまず省き、三冠王松中、二冠王5選手、仮三冠王柳田のそれぞれ後を打つ選手の打撃三部門の成績を順位でまとめた。(内川の成績は2017年7月16日現在)

 

 

打率

ホームラン

打点

城島健司(04年)

.338(3位)

36(4位)

91(6位)

城島健司(05年)

.309(7位)

24(11位)

57(18位)

セギノール(06年)

.295(15位)

26(5位)

77(6位)

村田修一(12年)

.252(16位)

12(8位)

58(9位)

中村紀洋(13年)

.281(11位)

14(12位)

61(11位)

ロペス(16年)

.263(21位)

34(3位)

95(5位)

 2004年の松中の三冠王の影には、城島の打撃成績が大きく関わったのではないかと思われる。さきほどの投手心理に戻ると、「松中が怖いから城島で勝負しよう」とはなかなか思えないということである。

 その一方で、二冠王5選手の次打者は三部門の成績にそれぞれ落差がある。つまり、投手は三冠王に手が届きそうな打者を打席に迎えたとき「この打者は怖いから次の打者で勝負しよう」という場面が増えることが予想されるのだ。現に、2005年の松中(76四球パ1位)を筆頭に、各打者の四球数はリーグの上位にランクインしている。

 ということで、「次打者が負けず劣らず強打者であること」が三冠王を達成する諸要素のひとつであると考えることができる。

 前半戦折り返し時点で柳田のあとを打つ内川は、打率こそ上位につける(さすが内川)が、ホームランと打点でもう少しほかの打者と一線を画す成績がほしいのが、正直なところかもしれない。

 

◆どうやったら三冠王を獲れるかなんて、誰にもわからない

 だた、私は意図的に省いたが、実は2004年の松中の四球数は84でリーグ2位を記録し、十分勝負を避けられているのである。つまり、ここまで述べてきたように、勝負を避けられる場面を減らすことが三冠王を獲得する要因なのではないか?という仮説を十分には立証することができないのだ。

 ほかにも、二冠を獲得した打者の多くが、首位打者に手が届いていないという事実も考えなければならない。参考までに、打率を落とさないようにするには、四球などによりできるだけ打席数を減らすことが重要という理論を紹介しておく。つまり、多くの打者が打率がネックで三冠王を逃しているのではれば、本来は四球などにもっと焦点を当てなければならないが、こちらも意図的に省いた。

 ここまで展開しておきながら無責任かもしれないが、三冠王を獲れる条件など、机の上でどれだけ考えてもわからないということだ。

 ただ、柳田の三冠王獲得の裏には、打順組や投手心理など、さまざまな要因が関係しているということは、恐らく間違っていないのではないだろうか。そのひとつの考察として、次の打者に注目するという視点があるのだということを念頭に置きながら、今後の柳田について各々考えてくれていただけたら幸いである。