ほーりーの野球日記

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清宮の進路相談

  7月30日、第99回全国高校野球選手権大会西東京予選決勝が行われた。

 プロ注目のスラッガー早稲田実業の清宮幸太郎はここまで歴代最多タイとなる高校通算107本塁打を放っており、早稲田実業の甲子園出場と清宮の新記録達成を一目見ようと、朝7時前からすでに開門し、31000人収容の神宮球場が試合開始前には満員と発表された。

 結果は、ここまで3年連続決勝で敗退している東海大菅生が17年ぶりの甲子園出場を決め、清宮の甲子園出場と記録達成への挑戦は終わった。

 清宮の高校通算本塁打には、周りの偏屈で不寛容な一部の大人たちから難癖ともいえる指摘が後を絶たない。大人たちよ、言いたいことはわかるが、そんなことはどうでもいいじゃないか。と個人的には言いたくなる。

 大事なことは、これからの人生(プロ?大学?)をどう過ごすかだ。今回は、大変恐縮ながら、清宮が今後送る野球人生でどのようなモデルケースが考えられるのか、過去の高校野球界の強打者を参考に考えてみたい。

 

◆高校通算50本塁打以上を記録した選手の進路先

 高校時代に強打で注目された打者は、どのような進路を選んだのだろうか。ここでは高校時代に50本以上の本塁打を記録した打者(清宮を除く)35人をサンプルに見てみる。すると、全選手の進路先としてプロが最も多く、85.7%=30人がプロに進んでいることがわかった。次いで大学が11.4%=4人、社会人が2.9%=1人だった。プロに進むのが妥当なのかと思ってしまうほどの差があることがわかる。

 高校からプロに進み、そのうちで成功を収めることができたのはどのくらいか。ここでは、プロ通算4000打席以上、プロ通算100本塁打以上、打撃タイトル獲得、代表歴がある、の4項目のうち1~2項目に該当していれば「成功」、3項目以上なら「大成功」=成功群、ゼロなら「失敗」=非成功群ということにする。

 

高校通算50本塁打以上を記録した選手の進路先

 

大成功

成功

失敗

合計

プロ

11

4

15

30

大学

2

0

2

4

社会人

0

0

1

1

合計

13

4

18

35

 

 高卒プロで成功群の成績を収められたのはちょうど半数。また、サンプル数は少ないものの、大学進学後にプロに入団した選手でも4選手のうち2選手が成功群の成績を収めることができた。やはり、高校で50本以上の本塁打を打てる打者には、レベルアップした環境でも成功を収められるだけの選手が多いということなのだろうか。

 

◆もしプロに進んだら、実働7年目までに結果が求められる

 ただ、成功した選手と同数の成功を収めることができなかった選手もいるのは事実だ。この違いはなんだったのだろうか。

 高校卒業後プロに進んだ成功15選手のブレイク時の成績を見てみる。今宮と中村は高校時代とはプレースタイルが変わっているため、あまり参考にならないかもしれないが、その2選手を除いた全ての打者がブレイク年時に10本以上のホームランを記録している。早くから活躍するに越したことはないが、遅くとも7年目までにある程度の打席数を打てる選手に成長し、その中で10本以上の本塁打を打つことが成功への第一歩かもしれない。

 

成功群のブレイク年数と成績

選手

高校本塁打

頭角を現した年

(実働年数/プロ年数)

打率

本塁打

打点

中田 翔

87本

2011(3/4)

.237

18

91

鈴木 健

83本

1993(5/6)

.270

13

51

中村 剛也

83本

2005(3/4)

.262

22

57

城島 健司

70本

1997(3/3)

.308

15

68

平田 良介

70本

2011(6/6)

.255

11

38

筒香 嘉智

69本

2012(3/3)

.218

10

45

清原 和博

64本

1986(1/1)

.304

31

78

今宮 健太

62本

2012(2/3)

.238

2

14

江藤 智

61本

1991(2/3)

.215

11

31

松井 秀喜

60本

1993(1/1)

.223

11

27

中村 晃

60本

2013(3/6)

.307

5

44

山崎 武司

56本

1995(7/9)

.291

16

39

大谷 翔平

56本

2014(2/2)

.274

10

31

岡田 貴弘

55本

2010(3/5)

284

33

96

吉岡 雄二

51本

1998(5/8)

.268

13

32

 

 続いて、非成功群を見てみる。

 古木は順調に進めば成功群入りすることもできた可能性があったことが悔やまれることだろう。しかし、それ以外の選手はブレイクの兆しはおろか、特に目立った活躍もないまま、あるいは一軍未出場のまま引退するケースが非常に多い。引退した選手は平均すると11.3年でプロ生活を終えている。

 プロ7年目までに結果を残せなかったら、それ以降の数年でしかるべき処遇を覚悟した方がいいのかもしれない。しかし、今年日ハムの大田がプロ9年目でブレイクの兆しを見せている。これまでのジンクスを破るような活躍に期待したい。

 

非成功群のプロ7年目までのブレイクの兆し

選手

高校本塁打

プロ7年目までの

ブレイクの兆し

現在(年数)

打率

本塁打

打点

黒瀬 健太

97本

一軍未出場

現役(2)

-

-

-

大島 裕行

86本

2003(2/4)

引退(13)

.307

7

33

高橋 周平

71本

2016(5/5)

現役(5)

.251

4

29

奥浪 鏡

71本

16年一軍初出場

現役(4)

-

-

-

平尾 博司

68本

代打や守備要員

引退(18)

-

-

-

藤島 誠剛

68本

特になし

引退(11)

-

-

-

吉本 亮

66本

特になし

引退(9)

-

-

-

大田 泰示

65本

特になし※今後に期待

現役(9)

-

-

-

筒井 孝

60本

一軍未出場

引退(5)

-

-

-

萩原 誠

58本

特になし

引退(8)

-

-

-

山口 幸司

56本

特になし

引退(11)

-

-

-

古木 克明

52本

2003(4/4)

引退(10)

.208

22

37

嘉勢 敏弘

52本

特になし

引退(9)

-

-

-

大久保 博元

52本

1992(7/8)

引退(10)

.277

15

43

 

◆大学進学はわずか2例

 次の進路候補として、大学・社会人ルートを見てみる。

 大学進学は4選手、社会人進学は1選手おり、5選手のうちプロに進んだのは稲葉篤紀松田宣浩の2選手だ。この2選手は文句なしの成功群入り選手であるが、プロ入りしなかった3選手のうち1人はすでに引退し、あとの2人は現在も社会人野球でプレーしている。

 サンプルが少ないこと踏まえた上であえて言うとすれば、大学に進学してプロに進めば、成功群に入る可能性が高いということだろうか。余談だが、プロ入りしなかった3選手はいずれも神港学園(グラウンドがとにかく小さいことで有名)出身の選手であることも興味深い。

 

◆清宮が掲げた目標の達成=成功群へのエリートルート

 最後に、当時中学3年生だった清宮がテレビの取材で語った将来の目標があるので、それを紹介して終えたい。以下、清宮が語った数年後の目標だ。

①甲子園で大暴れ

②20歳で日本代表入り

③10年後(=2024年、25歳)で本塁打王

 ①の「甲子園で大暴れ」については、1年夏の2本の本塁打をしっかりと覚えておきたい。

 ②の「20歳で日本代表入り」というのは、大学でもプロでも2年目にあたる。20歳での代表入りは2009年の第2回WBC田中将大が選ばれており、他の大会でも長谷部(当時愛知工業大学)や大瀬良(当時九州共立大)などがプロ選手に混ざって選出されたため、大学に進学しても可能性としてはゼロではない。20歳になる年、2019年には第2回プレミア12が予定されており、一部によるとこれが東京五輪の予選を兼ねるのではないかともいわれている。

 ③の「10年後で本塁打王」について、25歳というのはもし仮に高校卒業後にプロ入りすると奇しくもここまで重要な分岐点として紹介してきた7年目にあたる。過去の成功群の例で見ると、全選手が7年目までにブレイクを果たしており、7年目でホームラン王を獲れたら、この成功群入りする可能性が一段と高まる。

 

 プロに進めば7年目、大学に進めばプロ3年目となる2024年。それまでに清宮がどのような活躍を見せてくれるのか楽しみだ。

 

清宮の人生年表予想

年齢

所属

代表戦

清宮の目標

2014年

15歳

中学3年生

 

 

2015年

16歳

高校1年生

第1回プレミア12

甲子園で

大暴れ

2016年

17歳

高校2年生

 

2017年

18歳

高校3年生

第4回WBC

2018年

19歳

大学1年生

プロ1年目

 

 

2019年

20歳

大学2年生

プロ2年目

第2回プレミア12

日本代表入り

2020年

21歳

大学3年生

プロ3年目

東京五輪

 

2021年

22歳

大学4年生

プロ4年目

第5回WBC

 

2022年

23歳

プロ1年目

プロ5年目

 

 

2023年

24歳

プロ2年目

プロ6年目

第3回プレミア12

 

2024

25

プロ3年目

プロ7年目

 

本塁打王獲得

2025年

26歳

プロ4年目

プロ8年目

第6回WBC