ほーりーの野球日記

ほーりーの野球観察日記

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ベストナイン抑え投手部門

  投手編、最後はクローザー部門を選出して投手編を終えたい。

 今シーズン、ソフトバンクのサファテが日本新記録となる54セーブを挙げる大活躍を見せた。今回は20セーブ以上を挙げた10投手対象とするが、以前検証したように、サファテのクローザーとしての能力は歴代最高と言っても過言ではなく(詳しくは9月10日に寄せた「歴代最強救援投手」を参照されたい)、恐らくサファテの選出が濃厚だろう。

 サファテの能力の高さを紐解いていくことになると思うが、それではほかの投手が浮かばれない。できるだけほかのクローザーにもスポットを当てながら、投手編を終えていきたいと思う。

 

◆今シーズン最高値のWHIPを記録したサファテ、年々向上している増田

 WHIPのトップを記録したのは、早速サファテだ。0.67という数字は他の投手の追随を許さない圧倒的な力を見せつける結果となった。この数値は、先発、セットアッパー、クローザーの対象選手中、1位でもあった。

 次点に西武の増田が入った。昨シーズンから抑えに抜擢された増田は、昨シーズンと同数の28セーブを記録したが、WHIPにおいては入団以来最高の0.96を記録した。残念ながら連勝を止めた試合で敗戦投手になってしまったが、7月21日から8月4日にかけての13連勝の際には、セーブ場面の全4試合でセーブを挙げる活躍を見せた。

 

表1 抑え投手WHIP 5傑

 

選手

WHIP

1位

サファテ

0.67

2位

増田 達至

0.96

3位

山﨑 康晃

0.99

4位

田島 慎二

1.04

5位

松井 裕樹

1.08

 

◆サファテの圧巻のtRA、クインテット最高成績を収めたドリス

 今シーズン、クローザーでは最高となる1.09の防御率を記録したサファテが、tRAでもトップ、しかも防御率よりも優秀な0.83を記録した。WHIPと同様、この数値は、先発、セットアッパー、クローザーの対象選手中、1位でもあった。

 次点のドリスも、サファテと同様に防御率よりも優秀なtRAを記録した。「中継ぎ陣部門」でも紹介した60試合クインテットの最後の一角を担うドリスは、この5投手の中で最も優秀な成績を収めた。これに加え、試合の局面を左右する重要な場面での登板機会を示す「pLI」と、勝利貢献度を示す「WAR」でも、クインテットの中で最高値を記録した。今シーズンの阪神ブルペンを支えたリリーフ陣において、ドリスの重要度の高さがうかがえる。

 

表2 抑え投手tRA 5傑

 

選手

tRA

1位

サファテ

0.83

2位

ドリス

1.58

3位

松井 裕樹

2.00

4位

増井 浩俊

2.05

5位

山﨑 康晃

2.07

 

表3 60試合クインテットの各成績

 

ドリス

桑原

岩崎

マテオ

高橋

tRA

1.58

2.31

2.51

2.11

2.06

pLI

2.11

1.76

0.91

1.66

1.15

WAR

2.6

2.2

1.7

2.1

1.7

 

◆三冠達成のサファテ、さらなる武器を身に着けた増井

 K/BBで10.21を記録したサファテが、WHIP、tRAに続き、こちらも今シーズン最高値だった。これで三冠達成である。

 次点の増井は、昨年は不調でクローザーから一時的に先発に転向したが、今シーズンはクローザーに再転向した。不安やブランクを感じさせない投球で、K/BBは入団以来最高の7.45を記録し、与四球率も3位となる5.1%と優秀(1位はサファテの4.2)で、こちらも入団以来最高だった。フォークを決め球にするだけに、早くからカウントを稼げる制球力に磨きがかかると、今後の更なる飛躍に期待がかかる。

 

表4 抑え投手K/BB 5傑

 

選手

K/BB

1位

サファテ

10.20

2位

増井 浩俊

7.45

3位

山﨑 康晃

6.46

4位

ドリス

5.00

5位

増田 達至

4.46

 

◆松井がソフトバンクなら52セーブ?サファテに肉薄するセーブ成功率

 セーブ数ではサファテが圧倒的だが、セーブ成功率でいえば松井も負けていない。サファテのブロウンセーブは1回、松井は2回とハイレベルな争いだった。チームの順位を考慮すると、松井よりもサファテのほうがセーブ機会は当然多いが、もし松井がソフトバンクのクローザーをしていたと仮定すると、単純計算で約52セーブを挙げる計算となる。

 サファテの54セーブが多く取り沙汰されているが、松井のセーブ成功率も驚異的な数字だ。次項目以降は、松井がどれほどサファテに追随しているかにも注目していきたい。

 

表5 抑え投手セーブ成功率 5傑

 

選手

セーブ成功率

1位

サファテ

98.2%

2位

松井 裕樹

94.3%

3位

カミネロ

90.6%

4位

今村 猛

88.5%

5位

増田 達至

87.5%

 

◆安定型守護神のサファテと、劇場型守護神の松井

 サファテと同様に、LOB%が80%後半で、得点圏、非得点圏どちらの被打率も1割台だったのは、こちらも松井裕樹だ。両投手とも、9回に登場する投手として相手チームに与える絶望感は相当なものになるが、松井がサファテにあと2%近づくためには、一体何が必要なのかを考えていきたい。

 松井は、WHIPもtRAもセーブ成功率もトップクラスだが、K/BBが2.40とサファテに大きく見劣りする。与四球率を見ると、サファテが4.2とクローザー部門でトップなのに対し、松井は12.1クローザー部門だけでなく、今回の全投手中でも最下位だった。つまり、ランナー出すこともなければ失点することもないサファテ、ランナーは出すが失点がない松井という、成績上では類似性がみられるものの、その中身が違うという傾向がみられた。言うなれば、サファテが「安定型守護神」、松井が「劇場型守護神」といったところだろうか。

 松井の粘り強さが一級品だということは言えるかもしれないが、制球力に課題がみられるため、1安打あたりの失点も必然的に多くなる。得点圏時の被打率をみると、松井はLOB%で上位にいる増井よりも成績は上だ。しかし、両投手の1安打あたりの失点をみてみると、松井が7安打9失点で0.78点、増井が8安打10失点で0.80点と、その差は縮まり、松井がかろうじて勝っている程度だ。ランナーを出しやすい分、被打率ほどの成績を残せていないということなのだろうか。

 こうした制球力を磨いていくことが、松井を守護神として更なる高みへと導く近道なのかもしれない。

 

表6 抑え投手LOB%と状況別被得点圏打率

選手

LOB%

得点圏被打率

非得点圏被打率

サファテ

88.20

.148

.156

増井 浩俊

86.70

.182

.250

松井 裕樹

86.20

.167

.164

今村 猛

85.20

.241

.152

増田 達至

83.70

.201

.212

 

◆クローザーとして優れた資質を持つドリス

 サファテが初めて首位を明け渡す部門があった。サファテといえば、今年8月1日の「先発陣は何か感じて欲しい」発言でも話題になった被本塁打を含む3本の本塁打を浴びているなど被本塁打率は0.41と素晴らしいが、松井とドリスはそれぞれ今シーズン打たれた本塁打は0本と1本で、被本塁打率は0.00と0.14でサファテよりも優秀だった。

 

表7 抑え投手HR/9 5傑

 

選手

HR/9

1位

松井 裕樹

0.00

2位

ドリス

0.14

同3位

サファテ

0.41

同3位

山﨑 康晃

0.41

5位

カミネロ

0.57

 

 被本塁打ゼロという松井は十分に賞賛に値するが、ここで注目したいのは、阪神のドリスだ。来日2年間で被本塁打数は1と、どうしてここまで本塁打を打たれないのか。それは、ドリスの打球傾向をみればわかるかもしれない。

 その前に見てほしいものがある。今シーズン30本以上の本塁打を放った8打者が対象に算出した打球傾向だ。本塁打を打つには、もちろんだがその打球のほとんど多くが飛球であるはずだ。そこで見ていくのが、打球のゴロとフライの比率を示す「GB/FB」と、フライに占める本塁打の割合を示す「HR/FB」だ。「GB/FB」は1より数字が大きければ大きいほどゴロの割合が多く、ゼロに近づくほどフライの割合が多いという見方になっており、8選手の平均は0.97と、わずかではあるがフライ傾向の方が強いという結果が示された。また、HR/FBは全選手中トップのバレンティンを筆頭に、ホームランバッターの多くが平均すると約20%前後で打ち上げた打球をスタンドまで運んでいる。

 つまり、本塁打を打つ打者というのは、打球がフライになる傾向が強いということで、それは転じて、フライが上がることはスタンドインで失点につながる可能性があるということだ。それを踏まえて、ドリスの打球傾向に話を戻したい。

 

表8 ホームランバッターの打球傾向

選手

本塁打

GB/FB

HR/FB

デスパイネ

35

0.94

23.8

ゲレーロ

35

1.58

18.1

レアード

32

0.85

19.2

バレンティン

32

1.15

26.4

柳田 悠岐

31

0.85

21.5

ウィーラー

31

0.75

15.7

T-岡田

31

0.89

20.0

ロペス

30

0.71

14.2

 

 先ほどの「GB/FB」は同じ要領で投手にも適用できる。見てみると、ドリスのGB/FBは全クローザー中トップ、且つ唯一の2点台を記録していることがわかる。これは、ほかのクローザーの中で最もフライが打たれづらい投手ということで、つまり、本塁打が打たれづらい投手としての傾向が最も強く示されているということだ。また、GB/FBもドリスは2.5と最小で、フライは打たせないし、打たせてもスタンドまで届かせないという「出合い頭の一発」が少ない投手としての印象を受ける。サファテもそれぞれ1.10、7.3と優秀なのだが、それを凌駕するドリスのクローザーとしての適性の高さがうかがえる。

 

表9 抑え投手GB/FB 5傑

選手

GB/FB

HR/FB

ドリス

2.09

2.5

田島 慎二

1.57

11.3

増井 浩俊

1.52

17.1

山﨑 康晃

1.45

5.9

平野 佳寿

1.30

8.8

サファテ

1.10

7.3

 

ベストナインクローザー部門は文句なしでサファテ

 ベストナインクローザー部門は、やはり文句なしでサファテに決まりだ。

 今回紹介した項目の多くでトップに立つなど、ほかの投手との格の違いを見せるシーズンとなったに違いない。今回はあえてサファテへの言及は控えたものの、日本新記録となる54セーブを挙げた史上最高救援投手としての凄みがわかることだろう。

 サファテの壁は高く、厚いものの、松井、山﨑の若手のクローザーも健闘した。特に松井は被本塁打ゼロという輝かしい実績をキャリアに積み、今後の日本球界の投手陣の切り札になってくれることを期待したい。

 そのほか、クローザーとしての資質を備えたドリス、見事復活を果たした山﨑、年々レベルアップしている増田、新たな武器を身に着けた増井など、ほかのどの投手にも多くの見どころがあることが伝わってくれると幸いである。

 

表10 の今シーズンの成績

 

成績(順位)

サファテ

松井 裕樹

ドリス

山﨑 康晃

防御率

1.09(1)

1.20(2)

2.71(9)

1.64(3)

セーブ

54(1)

33(4)

37(2)

26(9)

登板数

66(3)

52(9)

63(4)

68(1)

WHIP

0.67(1)

1.08(5)

1.11(7)

0.99(3)

tRA

0.83(1)

2.00(3)

1.58(2)

2.07(5)

K/BB

10.21(1)

2.40(9)

4.97(5)

6.46(3)

セーブ成功率

98.2%(1)

94.3%(2)

86.0%(7)

86.7%(6)

LOB%

88.20(1)

86.20(3)

70.40(10)

80.90(7)

HR/9

0.41(3)

0.00(1)

0.14(2)

0.41(3)

GB/FB

1.10(7)

0.76(10)

2.09(1)

1.45(4)

HR/FB

7.30(5)

0.00(1)

2.50(2)

5.90(3)