ほーりーの野球日記

ほーりーの野球観察日記

自分の観方で野球を紹介します

ベストナイン捕手部門

  捕手のベストナインを選出するにあたり、まず考えなければならないのは、対象選手をどこまで広げるかということだ。

 12球団で最も出場試合数が多かった、規定打席に到達した、規定守備回数に到達したなど対象の選出方法はいくつかあるが、やはり、ベストナインとして選出する以上、攻守ともに一軍レベルとしてみなされているレギュラー捕手から選出するべきであろう。ということで、ここでは先発出場試合数が100試合を超えた巨人・小林、ヤクルト・中村、ロッテ・田村、楽天・嶋の4選手を対象に見ていくことにする。

 

表1 各球団捕手の先発出場数

 

出場試合数

先発出場試合数

會澤翼

106

87

梅野隆太郎

112

90

戸柱恭孝

112

90

小林誠司

138

134

松井雅人

87

68

中村悠平

127

123

甲斐拓也

103

80

炭谷銀仁朗

104

90

若月健矢※

100

88

大野奨太

83

49

田村龍弘

132

100

※出場試合数は伊藤光の103試合がチーム最多だが、先発出場数は若月が最多

 

◆一定レベル以上守れて、尚且つ打撃能力が良い捕手がベストナイン

 元ロッテの里崎は、「守れるキャッチャーと、打てるキャッチャーがいたら、どちらを起用しますか?」という質問に対して、「『捕って、止めて、投げる』能力が一軍のレベルにあるのならば、打てるキャッチャーを使います」と回答している。つまり、捕手としてどちらも最低限の能力が備わっていれば、レベルに優劣はあってもそこはフラットで、打てる捕手を起用するということだ。

 捕手部門の選出方法はこれに則り、①まずは捕手としての能力が一定レベルにある選手を選び、②その捕手の中から打撃能力に優れた捕手をベストナインとしたい。

 

◆各守備成績から算出する「捕手偏差値」

 捕手としての一定の能力をまずは算出しなければならない。ここでは守備率、盗塁阻止率、そして失策抑止による貢献を示す「ErrR」、守備全般での貢献を示す「UZR」、盗塁阻止・捕逸・暴投・失策割合から算出など捕手の守備による貢献を示す「Catcher」を捕手の守備能力とする。それを4選手でまとめたものが表1だ。

 

表2 捕手の平均守備成績

選手

守備率

盗塁阻止率

Catcher

ErrR

UZR

小林 誠司

.995

.380

3.1

-0.7

3.2

中村 悠平

.999

.337

1.0

0.8

2.2

田村 龍弘

.996

.337

1.5

0.0

1.8

嶋 基宏

.996

.289

2.2

-0.1

1.8

10選手平均

.996

.324

1.5

-0.13

1.4

 

 ここからさらに、捕手能力を総合して、各選手がどの水準にあるのかを理解する必要がある。ここで私が提案したいのが、「捕手偏差値」だ。学校のテストや入学試験を受けると教科ごとに偏差値が出るように、捕手の守備にも各項目で偏差値を作ってみたのがそれだ。規定守備回数に到達した全10選手の能力から捕手としての平均的な守備能力の水準を算出し、上記4選手の守備能力がどの位置にあるのかを表2で示している。

偏差値、というからには、50が平均的な水準である。ここでは小林、中村、田村の3選手が一定レベル以上の守備力を持った捕手とみなす。

 

表3 捕手偏差値ランキング

 

選手

捕手偏差値

1位

小林 誠司

51.43

2位

中村 悠平

50.63

3位

田村 龍弘

50.27

4位

嶋 基宏

48.48

 

 ここでは小林がトップの捕手偏差値を記録した。今年3月のWBCで日本代表の正捕手を務めた小林が、盗塁阻止率やその他の貢献度でもほかの捕手よりも優れた成績を収めた。もともと守備力で評価を受けていた小林だが、今シーズンも守備の面では好成績を残した。来シーズンは3年目になる宇佐美との正捕手争いが待っているが、先の里崎の理論から考えると、やはり正捕手の筆頭候補は小林であると考えられる。打撃力も向上させ、正捕手の座を確実に射止めたい。

 

 今回の守備面での選出方法については課題が残る。投手の防御率の捕手版である「捕手防御率」、捕球から二塁までの送球到達タイムを示す「ポップタイム」、際どいゾーンの球を球審にストライクと判定させる「フレーミング能力」など、今回の分析では適切なデータを見つけることができず算出できなかった項目もあったこれらを補えれば嶋の捕手としての能力を再評価できるかもしれないが、こちら次回以降の課題とし、ここでは3選手に絞って次の選出項目に移りたい。

 

◆3選手の中で打撃能力が最も高かった中村がベストナイン

 一定水準以上の捕手能力という選出基準によって3選手に絞った捕手を、続いては打撃能力で見ていきたい。ここでは、打者能力を評価するうえでよく目にする「OPS」「wRC」「wOBA」で比較する。すると、以下の通りになる。なお、OPSは出塁率長打率と総合的な打撃能力を表す指標、wRCは打者が創出した得点数を表す指標を表す指標、wOBAは1打席あたりでどれほど得点の増加に関わっているかを表す指標という位置づけがある。

 それによると、どの項目でもトップは中村となった。特に、wRCとwOBAでは小林と田村に大きく差をつけ、比較的高い得点創出能力を示す結果となった。

 

表4 3捕手の打撃成績

 

OPS

wRC

wOBA

小林 誠司

.542

21.3

.257

中村 悠平

.649

40.2

.300

田村 龍弘

.638

28.0

.287

 

 しかし、昨今叫ばれている「打てる捕手」の減少問題を裏付けるように、3選手の打撃成績も正直、目を見張るほどの成績ではない。中村のどの成績も下から数えた方が早いくらいだ。

 とはいえ、捕手としての守備能力が一定水準にある以上、打撃能力が最も優れた中村を選出するべきだろう。