ほーりーの野球日記

ほーりーの野球観察日記

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ベストナイン二塁手部門

  二塁手の選出にあたっては、まずは守備力をみていきたい。内野の要として遊撃手とともに一定水準の守備力がまず問われるこのポジションにおいては、「打てて守れる」というよりは、「守れて打てる」のほうを重視した選出をしていきたいと考える。具体的には、各選手の能力数値の評価比率と「守備:打力=6:4」とし、守備力に重きを置いた選出を試みる。

 今回の対象選手は浅村、上本、菊池、鈴木大地、山田の5選手だ。以下、まずは守備力からみていくことにする。

 

◆現役ナンバーワン二塁手はやっぱり菊池!だけど…

 守備力の選定については、まずは基本的な失策回避能力を示す守備率と、内野手の併殺完成による貢献を表す「DPR」、打球処理による貢献を表す「RngR」、失策抑止による貢献を表す「ErrR」、1試合でどれだけアウトに寄与したかどうかという守備寄与率を示す「RF」、そして守備全般での貢献を表す「UZR」の6項目でみていくことにする。

 二塁手の守備力と想像すると、やはり広島の菊池に注目が集まる。実際、NPBにおけるシーズン捕殺数ランキングでは1位から3位を独占しており、日米野球やWBCなどの国際試合でもその守備に注目が集まるなど、国内外で高く評価されている。

 6項目中4項目でトップの守備成績を記録した菊池の守備力はやはり評価しなくてはならない。全体的な守備貢献度としてUZRを見ると、他の二塁手よりも頭一つ抜け出した守備成績だということがわかる。

 

表1 二塁手の守備力

 

守備率

DPR

RngR

ErrR

RF

UZR

浅村 栄斗

.982

3.4

-0.7

-0.9

5.04

1.8

上本 博紀

.990

-1.0

-3.1

0.8

5.34

-3.2

菊池 涼介

.993

4.0

-3.2

2.4

5.20

3.2

鈴木 大地

.993

-4.5

-3.1

1.1

5.48

-6.6

山田 哲人

.988

-1.1

-0.4

-0.2

5.30

-1.6

 

 今シーズンの菊池の守備は相変わらず現役ナンバーワンといっても過言ではない成績を残しているが、本人としては不満に思う成績かもしれない。下に示したのはここ数年の菊池の守備能力を一覧で表したものだ。こちらを見ると、これまでのベストパフォーマンスを発揮しているとは言い難いということがみえてくる。

 

表2 菊池涼介の守備成績の推移

 

守備率

DPR

RngR

ErrR

RF

UZR

2014

.987

-0.1

12.3

0.9

6.34

13.2

2015

.988

1.5

9.0

-0.7

5.69

9.7

2016

.995

5.7

5.8

5.7

6.06

17.3

2017

.993

4.0

-3.2

2.4

5.20

3.2

 

 ここまでの守備貢献度が高すぎるため、今シーズンの守備に物足りなさを感じるというのは、贅沢な指摘だということはもちろん承知の上だ。特に今シーズンは開幕前にWBCにも参加し、疲れが出てきていることも考慮しなければならない。来シーズンはもう一度、破天荒でエキサイティングなプレーで楽しませてもらいたい。とはいえ、もう一度言うが、菊池の守備力は現役の二塁手でナンバーワンだ。

 

◆打撃能力では浅村がトップ

 一方で、打力の高い二塁手となると、西武の浅村がトップとなる。今シーズン、打率、本塁打と昨シーズンを下回ったが、99打点は110打点で打点王を受賞した2013年に次ぐ高記録だった。1番を打つ秋山の高い出塁能力とリーグ4位の犠打数を記録した源田の活躍もあり、こうした高い得点創出能力を記録できたのだと思われる。

 

表3 二塁手5選手の打撃成績

 

OPS

wRC

wOBA

浅村 栄斗

.799

86.4

.359

上本 博紀

.769

59.4

.348

菊池 涼介

.716

68.1

.331

鈴木 大地

.748

71.2

.340

山田 哲人

.799

82.9

.362

 

 浅村と同じく3番セカンドを多く務めた山田は、今シーズン、かつてないスランプに苦しんだ。それでも、データ上で示す打撃能力では、トップの浅村に匹敵する結果を示した。苦心の山田を支えたのは14.6%と全体で4位となる高い四球率にあるかもしれない。次からは、浅村と山田の成績を比較してみていくことにする。

 

◆山田はまだまだ投手にとって警戒すべき打者

 浅村と山田は、データ上はほぼ互角だと言えるかもしれないが、実際の成績をみると浅村の方が上だ。成績だけ見ると浅村の方が警戒されるべき打者であるように思えるが、山田の91四球は全体でも2位で、四球率は浅村の倍以上の数値を記録している。こうした逆転現象は、やはり山田の持つ一発を放つ力が投手にプレッシャーを与えているからだということが、次の数値を見るとわかってくる。

 フライに占める本塁打の割合を示す「HR/FB」をみてみる。この数値が高ければ高いほど外野に上がったフライがそのままスタンドインする、投手の立場としては冷や汗もののデータなのだが、浅村が8.4なのに対し、山田が14.4と、山田の19本塁打よりも多くの本塁打を放ったロペス(30本、14.2)、秋山(25本、12.3)よりも多かった。スランプに苦しんだとはいえ、投手から見れば山田ははやり警戒すべき打者だということで、そのために四球が多くなっているように思われる。来シーズンは是非ともスランプを克服し、自身三度目となるトリプルスリーを目指してもらいたい。

 

表4 浅村と山田の打撃成績の比較

 

打率

本塁打

打点

四球率

HR/FB

浅村 栄斗

.291

19

99

7.0

8.4

山田 哲人

.247

24

78

14.6

14.4

 

◆大不振に苦しんだ山田が、実はベストナイン

 いよいよ、ベストナイン二塁手の選定に入っていく。選定基準について振り返っておくと、「守備:打力=6:4」を評価の際の能力評価比率とし、「守れて打てる」二塁手の選出を試みるとした。守備力トップの菊池が一歩リードしているように見えるが、強打の浅村が猛追しているのがここまでのベストナインレースの様相だ。打撃、守備の各能力が平均よりもどの程度優れているのかを標準偏差を用いて標準化することでそれを見ていく。

 

表5 5選手の各成績の偏差値

 

守備能力

打撃能力

守備率

DPR

RngR

ErrR

UZR

RF

OPS

WRC

wOBA

浅村

48.23

60.26

61.03

36.40

58.77

34.19

60.36

62.96

59.50

上本

50.20

46.33

42.12

51.41

44.53

54.63

50.88

35.63

50.00

菊池

50.93

62.16

41.33

65.54

62.76

45.09

34.14

44.43

35.31

鈴木

50.93

35.25

42.12

54.06

34.85

64.17

44.25

47.57

43.09

山田

49.71

46.01

63.40

42.58

49.09

51.91

60.36

59.41

62.09

 

表6 5選手の各成績の平均値

 

守備能力

打撃能力

合計

浅村 栄斗

49.81

60.94

110.75

上本 博紀

48.20

45.50

93.71

菊池 涼介

54.64

37.96

92.60

鈴木 大地

46.90

44.97

91.87

山田 哲人

50.45

60.62

111.07

 

 合計得点をみると、守備、打撃ともに2位につけた山田がトップに躍り出た。このまま山田が守備の菊池、打力の浅村を振り切って山田をベストナインに選出、といいたいところだが、ここでは守備力を重視した選考方法を採用しているため、もう一考が必要だ。

 打撃能力をⅹ、守備能力をyとしたとき、「守備:打力=6:4」の計算式は、1.2x+0.8yとなる。それぞれの平均能力をこの式に当てはめてみると、以下の通りになる。

 

 

表7 守備力を重視した場合の評価値

 

守備能力

打撃能力

守備力重視値

浅村 栄斗

59.78

48.75

108.53

上本 博紀

57.84

36.40

94.25

菊池 涼介

65.56

30.37

95.93

鈴木 大地

56.28

35.98

92.25

山田 哲人

60.54

48.50

109.04

 

 守備力重視の選出をした場合でも、山田をベストナインに選出すべきだという結論に至る。守備でも菊池に次いで優れた成績を収め、不振に苦しんだ打撃でも表面上の能力ほど見劣りせず、浅村に次ぐ2位だった。

 前人未踏、2年連続トリプルスリーを達成した昨シーズンが終わった後、山田は次なる目標をゴールデングラブ賞の受賞と定めた。ここで強力なライバルとなるのは間違いなく菊池だ。今シーズンもほかの二塁手と一線を画す守備力を見せつけたといっても、菊池にとってはこれがベストパフォーマンスではないことは先に述べた。だが、今シーズンの終わり、ヤクルトにヘッドコーチとして宮本慎也が戻ってきた。早くもその存在はグラウンドの選手に影響が広がり、それが守備面でさらなる高みを目指す山田にとっても成長の材料となることは間違いない。来シーズンは打撃でもトップに返り咲き、また、守備でも菊池を上回る活躍を期待したい。