ほーりーの野球日記

ほーりーの野球観察日記

自分の観方で野球を紹介します

ベストナイン三塁手部門

 今シーズンの三塁手といえば、セ・リーグ首位打者に輝き日本シリーズ進出に貢献したDeNAの宮崎、初の規定打席到達で打率3割を記録した安部、4年ぶりに日本球界に復帰していきなりチーム三冠王となる活躍を見せたマギー、史上初となる外国人選手による20本塁打トリオの一角を担ったウィーラーと豊富な話題を提供してくれた選手が揃う。それ以外にも昨シーズンのパ・リーグ本塁打王レアード、本塁打王通算6回の中村、3大会連続日本代表に選出されている松田など、錚々たる顔ぶれとなっている。果たしてこの中からどの選手が今シーズンのベストナインにふさわしい活躍を見せたのだろうか。

 

安打製造機・宮崎

 まず私が注目したのは、今回のベストナインの選出候補の中で初めて登場するタイトルホルダーの宮崎だ。両リーグトップとなる打率で堂々の首位打者を獲得した宮崎は、本家ベストナインにも恐らく選出されるのではないだろうか。

 今シーズンの宮崎のストロングポイントは、全選手中最小の47だった三振数から見て取れる。1個の三振をするまでに立った打席数を表す「PA/K」という指標がある。この数値が高ければ高いほど、三振しにくい打者ということになるが、次の表で、今シーズンの「PA/K」で上位に入った選手をまとめた。ご覧の通り、宮崎は今シーズ最も三振しなかった打者であるということがわかる。

 

表1 PA/K上位5選手

順位

選手

PA/K

1位

宮﨑 敏郎

11.13

2位

中村 晃

10.53

3位

角中 勝也

10.27

4位

鳥谷 敬

9.19

5位

島内 宏明

8.61

 

 さらに「宮崎 三振」でネットを叩くと、興味深い記事が目に留まった。今シーズンの宮崎の活躍を過去の打者のどの類型に当てはまるかを検証したもので、それによると「内川タイプの巧打者」であると結論付けられている。以下、記事の内容を転載する。

内川タイプ 宮崎の今季47三振はセ・リーグ規定打席に到達した28選手中最少。1打席当たりの平均投球数が3.67とやや早打ちの傾向があり、四球も38と少ない。近年の同タイプには2度首位打者を獲得した内川がいる。2008年が49三振、31四球、平均投球数3.38。11年が48三振、25四球、平均投球数3.66と類似点が多い。

俊足ではない巧打者 155安打中、内野安打はわずか9本。盗塁がなく、併殺打がリーグ最多の23個と足は速くない。リーグ最多の併殺打を記録しながら首位打者を獲得したのは2リーグ制後6人目(8度目)。65年の南海・野村克也、66、71年の巨人・長嶋茂雄、81年のロッテ・落合博満らバットコントロールにたけた名選手が並ぶ。盗塁ゼロで首位打者になったのは01年のロッテ・福浦和也、12年の巨人・阿部慎之助に続く3人目。

サンケイスポーツ2017年10月11日)

 

三振が少なく、早打ちで四球も少ない。内野安打も盗塁も少ないが併殺打は多い。まさに、巧みなバットコントロールでヒットを稼ぐ宮崎は、まさに「安打製造機」だ。

 

 ヒットには、いい当たりを放っても正面のライナーで終わることもあれば、悪い当たりでも野手の間を抜ければ安打になるなど、多かれ少なかれ「運」の要素が付きまとう。この運の要素を取り入れながら、兎にも角にも打球がヒットになった確率を示す「BABIP」というものがある。本塁打とファウルを除く打球が安打となった割合を表す指標で、インプレー打率などと表現されることもある。インプレー打率と打率の差が少なければ少ないほど運に左右されない素の打率に近いものであるとされているが、以下の表で、今シーズンの打率上位5選手とそのBABIPの差をまとめてみた。結果は、.011で宮崎が最小、つまり、宮崎がもっともツイてなかった打者ということだ。それにも関わらず首位打者を獲得したということが、宮崎が安打製造機であることの証左ではないだろうか。

 

表2 打率上位5選手のBABIP

選手

打率

BABIP

BABIP-打率

宮崎 敏郎

.323

.334

.011

秋山 翔吾

.322

.348

.026

マギー

.315

.366

.051

大島 洋平

.313

.356

.043

柳田 悠岐

.310

.359

.049

 

首位打者・宮崎のもうひとつの武器は堅実な守備

 打撃で注目される宮崎という選手だが、もうひとつの注目点がある。それは、現役三塁手の中でトップクラスに守備力が高いという点だ。次の表は三塁手の今シーズンの守備成績を表したものだ。それによると、6部門のうち4部門でトップの成績であることがわかる。宮崎の堅実な守備もあり、14年はワースト2位、15年はワースト1位だったチーム三塁手守備成績が、宮崎の出場機会が増え始めた16年(宮崎は主に二塁手だったが、三塁手として208イニングに出場)、そして17年と連続で1位となっている。

 今シーズン、宮崎にとってはまさに攻守に渡って飛躍した一年となった。

 

表3 三塁手の守備力

 

守備率

DPR

RngR

ErrR

RF

UZR

宮崎 敏郎

0.970

1.9

5.9

3.6

11.5

2.30

安部 友裕

0.964

-0.5

10.0

0.2

9.7

2.55

マギー

0.967

-1.6

-6.7

1.6

-6.7

2.43

鳥谷 敬

0.968

-1.0

-13.1

0.8

-13.4

2.05

小谷野 栄一

0.942

-1.8

-13.4

-1.8

-17.1

3.14

ウィーラー

0.936

1.4

-5.1

-4.5

-8.1

2.49

松田 宣浩

0.967

0.0

4.4

0.8

5.2

2.08

レアード

0.942

-1.5

1.1

-2.6

-3.1

2.21

中村 剛也

0.957

-0.1

-0.3

0.9

0.6

2.40

 

◆打撃貢献と長打力に優れたマギー

 首位打者・宮崎よりも貢献度の面で高い数値をみせたのは、マギーだ。4年ぶりの日本球界復帰となった今シーズンは、セ・リーグ記録となる48二塁打を放つなど、チーム三冠王となる活躍を見せた。また、守備でも三塁手だけでなく二塁手もこなし、打順でも2番を打つ時期があったなど、重量打線の起爆剤となった。

 

表4 三塁手の打撃成績

 

OPS

WRC

wOBA

宮崎 敏郎

.856

77.3

0.380

安部 友裕

.754

54.1

0.344

マギー

.897

94.2

0.396

鳥谷 敬

.767

74.5

0.359

小谷野 栄一

.669

45.4

0.301

ウィーラー

.835

89.0

0.373

松田 宣浩

.777

72.5

0.346

レアード

.767

68.5

0.339

中村 剛也

.765

59.7

0.342

 

 長打率は全選手中6位の.514と優秀なのだが、注目すべきは上位10選手のうちマギーを除く9選手が20本塁打以上を放っているということだろう。さらに二塁打本塁打の総数が66で2位と、一発もあれば外野を抜ける長打もあると、まさに今シーズンでトップクラスの中距離打者として活躍した。

 

表5 二塁打+本塁打総数上位5選手

順位

選手

HR

2B

HR+2B

1位

ロペス

30

42

72

2位

マギー

18

48

66

3位

秋山 翔吾

25

38

63

4位

柳田 悠岐

31

30

61

5位

筒香 嘉智

28

31

59

 

◆チーム事情の差が打率の差?

 では、本塁打、打点の2部門で宮崎を上回る力を発揮したマギーが、どうして宮崎に打率では及ばなかったのだろうか。それは、先ほどの宮崎の三振数の少なさのほか、チーム事情も影響しているかもしれない。

 宮崎は今シーズン、出場試合数のほとんどで5番に座った。一方でマギーは、開幕当初は5番を多く打ったが、後半戦は2番を打った。それ以外にも、4番で19試合、3番で9試合に出場するなど、宮崎に比べて打席の入れ替わりが多かった。以下、打順別の打率をまとめた。

 

表6 宮崎とマギーの打順別成績

 

2番

3番

4番

5番

打数

打率

打数

打率

打数

打率

打数

打率

宮崎

-

-

8

.250

4

.250

465

.327

マギー

233

.339

33

.152

72

.264

185

.335

 

 2番と5番で出場試合数が多かったマギーは、それぞれの打順でもその力を発揮できたが、合計100打席以上に立った3、4番では伸び悩んだ。一方で宮崎は5番以外では12打席を経験したのみだった。打順を固定できたか、あるいはできなかったという差が、マギーと宮崎のパフォーマンスに影響を与えているかもしれないし、さらには、日本シリーズに進出できたチームとCSが始まって以来初となるBクラスに沈んだチームの結果にも表れているかもしれない。

 

ベストナインは攻守に渡り優れた成績を収めた宮崎

 三塁手ベストナインは、DeNAの宮崎を選出したい。貢献度の高さや長打力ではマギーが上手かもしれないが、ここまで見てきたように、打者として優れたのは、巧みなバットコントロールを見せた宮崎だ。また、三塁手としての堅実な守備もベストナインに相応しい。

 ただ、三塁手は対象選手が多いなど、競争が激しいポジションであった。宮崎だけでなく、残留が濃厚だという報道が出ているマギーや、冒頭で紹介した選手たちも、来シーズンは対象選手に名を連ねることだろう。また、安部のような新顔として名を連ねる選手も出てくるかもしれない。

 過去3大会連続で日本のホットスポットを松田が守ってきたが、その牙城を崩す選手が現れることを大いに期待したい。