ほーりーの野球日記

ほーりーの野球観察日記

自分の観方で野球を紹介します

ベストナイン遊撃手部門

  今シーズンの遊撃手といえば、西武・源田、中日・京田という新入団選手の活躍が目立った。京田は、リーグ新人最多猛打賞と球団新人最多安打を更新、また源田は、球団新人記録盗塁と球団新人最多安打の更新と56年ぶりとなる新人選手でのフルイニング出場を達成した。どちらも稲葉監督率いる侍ジャパンのメンバーに選出されており、次世代の日本代表の中心を担うであろう2選手である。

 この2人の新人選手のほか、もはや日本球界の顔に成長した坂本、2年連続全試合に出場し広島のセ・リーグ連覇に貢献した田中、5年連続ゴールデングラブ賞受賞が発表された今宮、9番打者ながらリーグ2位の得点圏打率を記録するなど勝負強い打撃が光った倉本、パ・リーグ記録となる初級先頭打者弾を含めた6本の先頭打者本塁打を記録した強打の茂木、この7選手が対象となる。

 なお、ここでは二塁手と同様、守備位置補正に従って守備力重視の選考をする。

 

◆守備職人・坂本、鉄壁・今宮、貪欲・源田

 まずは守備力をみていくが、その前に、先日発表されたゴールデングラブ賞を受賞した遊撃手をおさらいしておく。セ・リーグは坂本、パ・リーグは今宮だが、これには気持ちの上では納得だ。なぜなら、どちらもそれぞれのリーグで守備率が最も優れた選手だからだ。この2選手が素晴らしい選手であることは間違いないが、私は記者ではないため、なるべく主観による判断を排除するよう心掛ける。

 二塁手のときと同様、6つの項目で守備力を評価する。それをまとめたのが以下の表だ。非常に興味深いことに、坂本が全ての項目で2番手につけている。1番ではないが、弱点がない。1番が超一流だとしたら、坂本は悪くても一流という、ものすごい領域に位置する守備職人であることがわかる。

 ただ、今宮も負けてはいない。守備率をはじめ、失策抑止力もトップと、「鉄壁さ」でいえばナンバーワンであろう。これが、今シーズンプロ野球新記録となるチーム守備率9割9分3厘を成し遂げたチームの内野の要の力だ。

 この2選手を抑え、6つの項目のうち最多となる4項目でのトップを記録したのが、西武の源田だ。併殺、打球処理、アウトなど、取れるアウトはとことんアウトにする、まさにアウトに対する尋常ならぬ貪欲さが感じられるプレーヤーだ。UZRが新人ながら12球団トップであることからも、この源田の存在こそが今後のプロ野球の守備力の発展のキーパーソンとなるかもしれない。

 

表1 遊撃手の守備力

 

守備率

DPR

RngR

ErrR

RF

補正UZR

坂本 勇人

0.987

2.4

5.7

2.5

5.03

15.6

田中 広輔

0.977

0.4

-1.8

0.6

4.83

4.1

源田 壮亮

0.971

3.4

20.4

-2.3

5.11

26.5

今宮 健太

0.988

-0.9

1.2

4.9

4.12

10.2

京田 陽太

0.980

0.7

5.7

0.3

4.70

11.8

倉本 寿彦

0.979

0.6

-18

0.4

4.10

-12

茂木 栄五郎

0.977

-0.3

-2.4

-1.4

4.49

0.9

 

◆強打の遊撃手、田中と茂木はどちらも守備に課題

 続いてみていくのは打撃力で、こちらも二塁手と同様にOPS、wRC、wOBAを評価基準に採用した。打力では、広島の田中と楽天の茂木が目立った。チームでは1番を打つ両選手だが、田中は柳田と並ぶ全体3位タイの89四球をはじめ出塁率が同僚の丸を抑えリーグトップ、打率も3割まであと一歩の.290だった。茂木は前述したように両リーグトップの6本の先頭打者本塁打を放ったほか、遊撃手7選手の中で打率と本塁打がそれぞれトップの成績を収めた。さらにOPSが全体8位の.867と優秀で、遊撃手の中では突出した打力を発揮したシーズンだった。だた、田中はRFで平均以上の成績を残したが、それ以外の項目では両選手ともに平均以下に終わった。さらにいうと、茂木は肘の故障の影響もあってか、マイナス数値を記録する項目もあり、守備貢献度に課題が見られた。まずは来シーズンに向けて肘の状態を万全にしてもらいたい。

 

表2 遊撃手7選手の打撃成績

 

OPS

wRC

wOBA

坂本 勇人

0.802

86.7

0.372

田中 広輔

0.805

95.9

0.372

源田 壮亮

0.669

61.1

0.307

今宮 健太

0.739

73.2

0.336

京田 陽太

0.652

50.4

0.301

倉本 寿彦

0.624

37.6

0.283

茂木 栄五郎

0.867

71.0

0.386

 

 

 7選手の中で打率が最下位だったのは、DeNAの倉本だ。ただ、この倉本が7選手の中で最優秀だったのは、勝負強さだ。得点圏打率が全体5位の.342と優秀で、重要場面(たとえば「8回表、2対3で負けている2死二、三塁の場面はどれだけ重要か?」といったような)での勝負強さを示す「Clutch」をみると全体2位と、こちらも優秀だった。ただ、倉本も茂木や田中と同様に守備に課題がある。日本シリーズでは第2戦に痛恨の失策を喫したが、第3戦で満塁の場面で気迫のタイムリー内野安打を放つなど、良くも悪くも目立った倉本だったが、来シーズンは勝負強さを残しつつ、守備での活躍も期待したい。

 

◆攻守にわたって活躍を見せた坂本がベストナイン

 ここから、ベストナインの選出にうつる。守備力重視ということでみていくが、やはり二塁手と同様に標準偏差を用いて数値化していく手法をとる。それをまとめたのが以下の表だ。

 ベストナインは坂本だ。安定した高水準の守備力、打力でも3番手につけるなど、守備も打撃も一級品だ。守備力重視の選考とはいえ、茂木や田中に一定水準以上の守備力があれば、ベストナインもあり得たかもしれない。逆に、源田や今宮に今以上の打力が備われば、ショート坂本一択時代に待ったをかけるときがくるかもしれない。今宮は今シーズン、打率、本塁打、打点で自己ベストを更新し、ここからのさらなる飛躍が期待される(よろしければこちらもご覧ください)。

 

表3 7選手の各成績の偏差値

 

守備能力

打撃能力

守備率

DPR

RngR

ErrR

補正UZR

RF

OPS

WRC

wOBA

坂本

62.95

60.78

53.89

58.04

56.62

60.67

57.68

60.01

59.35

田中

44.82

46.41

46.87

49.49

46.39

55.49

58.03

64.93

59.35

源田

33.94

67.96

67.65

36.43

66.32

62.77

42.00

46.32

42.12

今宮

64.77

37.07

49.68

68.84

51.82

36.61

50.25

52.79

49.81

京田

50.00

48.56

53.89

48.14

53.24

52.02

40.00

40.59

40.53

倉本

48.45

47.84

31.71

48.59

32.07

35.96

36.70

33.74

35.76

茂木

44.82

41.38

46.31

40.48

43.54

46.47

65.34

51.61

63.06

 

表4 守備力を重視した場合の評価値

 

守備能力

打撃能力

守備力重視値

坂本 勇人

58.82

59.01

117.80

田中 広輔

48.24

60.77

106.51

源田 壮亮

55.85

43.48

101.80

今宮 健太

51.46

50.95

102.52

京田 陽太

50.98

40.37

93.47

倉本 寿彦

40.77

35.40

77.24

茂木 栄五郎

43.83

60.01

100.61

 

 11月16日から19日にかけての「ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017」に向けて、代表合宿が9日から始まり、12日には日ハムとの練習試合が開催された。その試合で二遊間を組んだのは京田と源田の新人コンビだ。将来的にこの2人が国際試合でもこのコンビを結成するのか、あるいは坂本がトップに君臨し続けるのか。どちらにせよ、日本の遊撃手の未来は明るいはずだ。