ほーりーの野球日記

ほーりーの野球観察日記

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芝の変更は選手の打撃に影響ある? ない?

マリナーズ対巨人のもう一つの注目ポイント“芝”

 イチローと菊池の凱旋で沸いたマリナーズと巨人のプレシーズン試合。

 2試合ともに9番ライトで先発出場したイチローにヒットは生まれなかったが、その一挙手一投足に沸き起こる大歓声に、やはりスーパースターへの注目の高さがうかがえた。

 だが、この試合でもう一つ注目すべきものがあった。

 それは、総投資額約3億円をかけて5年ぶりに全面リニューアルされた芝だ。芝の植え込み間隔を狭くするなど改良し、天然芝に近いクッション性を再現されたという。それが、17日のマリナーズ戦でお披露目となった。

 一般的に、天然芝は人工芝よりも打球が失速するといわれている。つまり、内野を抜けるヒットが出づらくなるということだ。そして、そのことで割を食う選手も出てくるのではないだろうか。

 芝の変化による打撃成績への影響について、西武ライオンズの秋山が興味深い発言をしている。

 当時の西武プリンスドームも、2016年の開幕を前に天然芝に近い素材へ変更されているのだが、その際秋山は「打球が(芝に)食われるのは僕のようなゴロヒッターには厳しい面もある」と話した。

 選手の感覚としては、やはり本拠地球場の芝の変化は気になるのだろう。

 今回は、天然芝が選手の打撃成績に影響を与えるものなのか、与えるとしたらどの選手がもっとも影響を受けやすいのかを見ていく。

 

◆ゴロ傾向が強い打者、弱い打者

 天然芝に近い環境に変わった場合、その影響を受けるのはゴロが多い打者になると思われる。まずは、ゴロ傾向が強い打者と弱い打者で分類してみる。その際に着目するのが、フライひとつあたりのゴロの数を表したゴロフライ比率だ。1を上回るとゴロ傾向が強い打者とする。

 それをまとめたものが以下の表だ。

 ここでは、2016年に芝を天然芝、あるいは天然芝に近い素材に変更した楽天と西武の選手を参考にする。なお、芝の変化による成績の変化を比較するために、2015年は在籍していない楽天の茂木と、シーズン後に退団したペーニャは表から除外した。

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 栗山から藤田は2015年、2016年ともにゴロ傾向が1を上回っているので、ここではゴロ傾向を「強」とした。また、後藤から銀次については、2015年は1を下回り、2016年は上回っており、ここではゴロ傾向を「弱⇒強」とした。以上、9選手が、ゴロ傾向が強い/強くなった打者とし、芝の変化によって前年よりも成績が下降するかを見る。

 

◆芝の変更はホーム球場での打率の変化に決定的な影響を与えない?

 芝が変更された球場、つまり、ホーム球場での打率の変化を見てみる。

 成績が下降すると予想した9選手のうち、予想通りホーム打率が下降したのは栗山、秋山、藤田、松井、銀次の5選手となった。一方で炭谷、金子、後藤、岡島の4選手はホーム打率が上昇した。同じゴロ傾向が強い打者でも、ホーム打率が上がる打者もいれば下がる打者もいたということだ。

 なお、冒頭で言葉を引用した秋山に関して、やはり自身が予想した通り、ホーム打率が2015年の.343より2016年は.333に下降した。しかし、この打率はむしろ高打率と言っても良いだろう。それにもかかわらず、シーズン打率が.359から.296に大きく下がったのは、ビジター球場での打率が下がったからだと考えるのが妥当だろう。

 ほかの打者の打率の変化もみてみる。

 ゴロ傾向が改善され、成績が上昇すると予想した浅村は、(ありがたいことに)翌年のホーム打率が上昇した。しかし、ゴロ傾向が弱く、恐らく芝の変更に成績が左右されないと予想された選手は、ゴロ傾向の強い打者と同様に、(やはりと言うべきか)ホーム打率が上がる打者もいれば下がる打者もいた。

 これらのことから、選手の打率の変化に、ホーム球場の芝の変化が強い説得力を持つ要因であるとは言い難くなった。

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◆芝への苦戦を予想したから? ホーム打率が上がった選手はシーズン打率も上がった

 しかし、ホーム打率の変化が、シーズン打率に直結するかどうかみてみると、思わぬ産物が得られた。

 ホーム打率を上昇させた選手はみな、ゴロ傾向によって違いがみられたわけではないのだが、シーズン打率を上昇させていることがわかった。

 実は、先ほどの秋山の言葉には続きがあった。秋山は「打球が(芝に)食われるのは僕のようなゴロヒッターには厳しい面もある」のあとに、「スキルを上げるチャンスと捉えたい」と話していた。苦戦が予想される本拠地での試合に備えて、選手各人が打撃技術の向上を追い求めた結果として、ホーム球場だけでなくシーズンを通してのパフォーマンスの向上につながったのだと思いたい。

 

◆東京ドームを本拠地とする巨人の選手への影響は?

 今シーズンから芝が変わる東京ドームを本拠地とする巨人の選手はどうだろうか。作シーズンの傾向から見るに、ゴロ傾向が強い打者は田中俊太、大城卓三、吉川尚輝、陽岱鋼小林誠司となるが、ゴロ傾向の強さと芝の変更が、打撃成績を上昇させる強い要因であるとは言えないことはすでに述べたとおりだ。

 しかし、ホーム打率が上昇すると選手はみなシーズン打率も向上させたという、先程得られた副産物に当てはめて考えるとどうだろう。

 昨シーズン、ホーム打率がシーズン打率を上回った選手は、陽、小林、ゲレーロ、亀井の4選手だった。今シーズンもシーズン打率をホーム打率が上回るような成績を残すことができれば、昨シーズンよりも打率が向上するかもしれない。

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 芝の変化が選手のプレーにどう影響するのか、あるいはしないのか―。

 今回はそれを考える良い機会となった。