ほーりーの野球日記

ほーりーの野球観察日記

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異質で特異な逸材・佐野恵太

◆神がかり的な代打成功率

 ベイスターズの3年目、佐野恵太がすごいことになっている。

 3月29日の中日との開幕戦に代打で出場し2点タイムリ二塁打を放つと、同31日のベイスターズ初代監督・近藤昭仁追悼試合でも代打で出場しサヨナラタイムリーで試合を決めた。極めつけは4月4日のヤクルト戦で球団では8年ぶりとなる代打満塁弾を放ち、ここまで4試合の代打出場で4打数4安打8打点と驚異の成績を見せている。

 この佐野という選手、入団の経緯が興味深い。

 2016年、当時の高田繁GMはドラフト会議の終盤、指名選手を最後まで決めかねていた。そこでスカウトに、もう一方の候補選手と比較して「どっちの方が打てるんだ?」と聞き、「佐野です」と声が返ってきたで指名を決めたという。後に高田GMは「将来的には、代打としてもやっていけると思う。だから、指名した」と語った。

 こうして佐野は、支配下登録選手として全体で87人中84番目、セントラル・リーグでは最終指名で、ベイスターズに9位入団した。

 即戦力、将来性などを重視されがちなドラフト会議において、はじめから代打での起用を見据えた指名はあまり聞かない。しかし、それが実際に当たっているのだから、スカウトの眼力と球団の決断には、張本よろしくあっぱれを言いたくなる。

 

◆昨シーズンの代打打点がリーグ最下位だったベイスターズ

 繰り返しになるが、代打は試合の行方を左右する重要な役割を担う。それゆえに、優勝争いに加わるには代打の切り札になる選手が欠かせない。

 昨シーズンのセリーグの代打成績を球団ごとにみてみる。ベイスターズ本塁打数1位、打率2位といずれも好成績を残しているように見えるが、打点はリーグワーストだ。クライマックスシリーズ進出を逃した原因はそれだけでないにせよ、他球団と比較しても代打打点は少なくとも40近くまで引き上げる必要があるかもしれない。

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  ちなみに、昨シーズンのベイスターズの主な代打成績は以下の通りだ。

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◆代打の得点力がリーグ順位に影響を与える?

 代打打点というものをもう少し深くみてみる。

 各球団の打席数のばらつきを是正するために、代打の一打席あたりの打点数をみてみる。ここではそれを「PA/RBI」とし、昨シーズンの12球団の成績を以下の通りまとめてみた。すると、DeNAのPA/RBIは12球団でワースト2位と、全体的に見ても代打による得点力不足が感じられた。

 さらに、PA/RBIの上位6球団のうち4球団はAクラス入りを果たすなど、代打による得点力が少なからずリーグ順位に影響を与えていると言えるかもしれない。

 代打による得点力が順位に影響を与えるとすれば、代打打点に課題を残したベイスターズにとって、佐野が今シーズンのキーマンとなる可能性は十分にある。

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 代打というのは、特殊な役割だ。

 攻撃の起点として起用されることもあれば、ピッチャー交代のタイミングや勝負どころ、ときには走者を進塁させるために送られることもある。

 試合の行方を左右する重要な場面で、たったの一打席で与えられた役割を遂行しなければならない。これには、洗練された勝負勘、並外れた集中力、高い野球偏差値など、技術以外にもあらゆる資質が必要とされる。長年チームをけん引したベテラン選手が晩年は代打の切り札として重宝されるのは、そのためでもあろう。

 しかし、佐野はまだ3年目の24歳だ。大谷翔平藤浪晋太郎鈴木誠也らと同学年にあたるが、この世代における異質で特殊な逸材であることに間違いない。