ほーりーの野球日記

ほーりーの野球観察日記

自分の観方で野球を紹介します

異質で特異な逸材・佐野恵太

◆神がかり的な代打成功率

 ベイスターズの3年目、佐野恵太がすごいことになっている。

 3月29日の中日との開幕戦に代打で出場し2点タイムリ二塁打を放つと、同31日のベイスターズ初代監督・近藤昭仁追悼試合でも代打で出場しサヨナラタイムリーで試合を決めた。極めつけは4月4日のヤクルト戦で球団では8年ぶりとなる代打満塁弾を放ち、ここまで4試合の代打出場で4打数4安打8打点と驚異の成績を見せている。

 この佐野という選手、入団の経緯が興味深い。

 2016年、当時の高田繁GMはドラフト会議の終盤、指名選手を最後まで決めかねていた。そこでスカウトに、もう一方の候補選手と比較して「どっちの方が打てるんだ?」と聞き、「佐野です」と声が返ってきたで指名を決めたという。後に高田GMは「将来的には、代打としてもやっていけると思う。だから、指名した」と語った。

 こうして佐野は、支配下登録選手として全体で87人中84番目、セントラル・リーグでは最終指名で、ベイスターズに9位入団した。

 即戦力、将来性などを重視されがちなドラフト会議において、はじめから代打での起用を見据えた指名はあまり聞かない。しかし、それが実際に当たっているのだから、スカウトの眼力と球団の決断には、張本よろしくあっぱれを言いたくなる。

 

◆昨シーズンの代打打点がリーグ最下位だったベイスターズ

 繰り返しになるが、代打は試合の行方を左右する重要な役割を担う。それゆえに、優勝争いに加わるには代打の切り札になる選手が欠かせない。

 昨シーズンのセリーグの代打成績を球団ごとにみてみる。ベイスターズ本塁打数1位、打率2位といずれも好成績を残しているように見えるが、打点はリーグワーストだ。クライマックスシリーズ進出を逃した原因はそれだけでないにせよ、他球団と比較しても代打打点は少なくとも40近くまで引き上げる必要があるかもしれない。

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  ちなみに、昨シーズンのベイスターズの主な代打成績は以下の通りだ。

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◆代打の得点力がリーグ順位に影響を与える?

 代打打点というものをもう少し深くみてみる。

 各球団の打席数のばらつきを是正するために、代打の一打席あたりの打点数をみてみる。ここではそれを「PA/RBI」とし、昨シーズンの12球団の成績を以下の通りまとめてみた。すると、DeNAのPA/RBIは12球団でワースト2位と、全体的に見ても代打による得点力不足が感じられた。

 さらに、PA/RBIの上位6球団のうち4球団はAクラス入りを果たすなど、代打による得点力が少なからずリーグ順位に影響を与えていると言えるかもしれない。

 代打による得点力が順位に影響を与えるとすれば、代打打点に課題を残したベイスターズにとって、佐野が今シーズンのキーマンとなる可能性は十分にある。

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 代打というのは、特殊な役割だ。

 攻撃の起点として起用されることもあれば、ピッチャー交代のタイミングや勝負どころ、ときには走者を進塁させるために送られることもある。

 試合の行方を左右する重要な場面で、たったの一打席で与えられた役割を遂行しなければならない。これには、洗練された勝負勘、並外れた集中力、高い野球偏差値など、技術以外にもあらゆる資質が必要とされる。長年チームをけん引したベテラン選手が晩年は代打の切り札として重宝されるのは、そのためでもあろう。

 しかし、佐野はまだ3年目の24歳だ。大谷翔平藤浪晋太郎鈴木誠也らと同学年にあたるが、この世代における異質で特殊な逸材であることに間違いない。

 

 

再ブレイク必至の剛腕 国吉

◆立て続けに自己最速を更新

 このところ、DeNA国吉佑樹がやけにぶいぶいいわせている。

 16日のソフトバンク戦では157キロ、さらに19日の阪神戦で158キロと、立て続けに自己最速を更新している。

 昨シーズンの球速ランキングで見ると、この球速は4位タイとなる(調べられる中で調べたので、見落としがないことを願う)。

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ベイスターズはリーグの中でもパワータイプの中継ぎ投手が多いチーム

 セリーグ各球団で、中継ぎとして30試合以上に登板し、10セーブ未満の投手を対象に、昨シーズンストレートの失点増減(wFA)と、平均球速(FAv)を見てみる。DeNAの昨シーズンの中継ぎ投手は、パットン、三上朋也、エスコバー、砂田毅樹、三嶋一輝の5選手が中心となった。

 失点増減をみると、5.5を記録したエスコバーをはじめ、DeNAはストレートによる失点減少に優れた投手が多く見られた。平均2.8は阪神の3.8に次ぐリーグ2位の好成績だ。

 さらに、ストレートの平均球速は今回対象とした中ではリーグ1位の147.5キロを記録するなど、DeNAはリーグの中でも屈指のパワー投手が揃うチームだということが言えるかもしれない。

 そこに、最速158キロの国吉が中継ぎの一角を務めるとなると、まさに鬼に金棒となるだろう。

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◆オープン戦の奪三振率は脅威の15.19! 再ブレイク必至の剛腕右腕

 国吉は2009年に育成選手ドラフト1位でベイスターズに入団。先発としてプロのキャリアをスタートさせたが、2012年には12敗(4勝)を喫するなど、伸び悩んだ。

 頭角を現したのは2014年、国吉は開幕から中継ぎとして結果を残した。先発に再転向した時期もあったが、結局打ち込まれる場面が目立ち、再び中継ぎとして出場機会を得ると安定感を取り戻した。最終的に49試合に登板したうち、先発防御率は7.11、救援防御率は2.54と、中継ぎとしてブレイクの兆しを見せた。

 だが、その後は昇格と降格を繰り返し、昨シーズンはわずか13試合の登板に終わった。

 今シーズンは春季キャンプを4年振りとなる一軍スタートさせ、オープン戦に5試合登板し四死球はゼロ、5回3分の1を投げ9奪三振という成績だ。中継ぎとしてはエスコバーを上回る15.19の奪三振率を記録している。

 

 現代野球において、中継ぎ投手は何人いても困らない。

 特に、DeNAは昨シーズン、先発投手の完投数がリーグワーストの2だったこともあり、中継ぎ投手の重要度がより高い傾向にあるチームと言えるだろう。

 そんな中、セットアッパーの一員に名乗りをあげた国吉の起用も、今シーズンはさらに増えると予想される。

 上茶谷や大貫といった新人右腕が注目される中、再ブレイク必至の剛腕右腕にも注目だ。

芝の変更は選手の打撃に影響ある? ない?

マリナーズ対巨人のもう一つの注目ポイント“芝”

 イチローと菊池の凱旋で沸いたマリナーズと巨人のプレシーズン試合。

 2試合ともに9番ライトで先発出場したイチローにヒットは生まれなかったが、その一挙手一投足に沸き起こる大歓声に、やはりスーパースターへの注目の高さがうかがえた。

 だが、この試合でもう一つ注目すべきものがあった。

 それは、総投資額約3億円をかけて5年ぶりに全面リニューアルされた芝だ。芝の植え込み間隔を狭くするなど改良し、天然芝に近いクッション性を再現されたという。それが、17日のマリナーズ戦でお披露目となった。

 一般的に、天然芝は人工芝よりも打球が失速するといわれている。つまり、内野を抜けるヒットが出づらくなるということだ。そして、そのことで割を食う選手も出てくるのではないだろうか。

 芝の変化による打撃成績への影響について、西武ライオンズの秋山が興味深い発言をしている。

 当時の西武プリンスドームも、2016年の開幕を前に天然芝に近い素材へ変更されているのだが、その際秋山は「打球が(芝に)食われるのは僕のようなゴロヒッターには厳しい面もある」と話した。

 選手の感覚としては、やはり本拠地球場の芝の変化は気になるのだろう。

 今回は、天然芝が選手の打撃成績に影響を与えるものなのか、与えるとしたらどの選手がもっとも影響を受けやすいのかを見ていく。

 

◆ゴロ傾向が強い打者、弱い打者

 天然芝に近い環境に変わった場合、その影響を受けるのはゴロが多い打者になると思われる。まずは、ゴロ傾向が強い打者と弱い打者で分類してみる。その際に着目するのが、フライひとつあたりのゴロの数を表したゴロフライ比率だ。1を上回るとゴロ傾向が強い打者とする。

 それをまとめたものが以下の表だ。

 ここでは、2016年に芝を天然芝、あるいは天然芝に近い素材に変更した楽天と西武の選手を参考にする。なお、芝の変化による成績の変化を比較するために、2015年は在籍していない楽天の茂木と、シーズン後に退団したペーニャは表から除外した。

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 栗山から藤田は2015年、2016年ともにゴロ傾向が1を上回っているので、ここではゴロ傾向を「強」とした。また、後藤から銀次については、2015年は1を下回り、2016年は上回っており、ここではゴロ傾向を「弱⇒強」とした。以上、9選手が、ゴロ傾向が強い/強くなった打者とし、芝の変化によって前年よりも成績が下降するかを見る。

 

◆芝の変更はホーム球場での打率の変化に決定的な影響を与えない?

 芝が変更された球場、つまり、ホーム球場での打率の変化を見てみる。

 成績が下降すると予想した9選手のうち、予想通りホーム打率が下降したのは栗山、秋山、藤田、松井、銀次の5選手となった。一方で炭谷、金子、後藤、岡島の4選手はホーム打率が上昇した。同じゴロ傾向が強い打者でも、ホーム打率が上がる打者もいれば下がる打者もいたということだ。

 なお、冒頭で言葉を引用した秋山に関して、やはり自身が予想した通り、ホーム打率が2015年の.343より2016年は.333に下降した。しかし、この打率はむしろ高打率と言っても良いだろう。それにもかかわらず、シーズン打率が.359から.296に大きく下がったのは、ビジター球場での打率が下がったからだと考えるのが妥当だろう。

 ほかの打者の打率の変化もみてみる。

 ゴロ傾向が改善され、成績が上昇すると予想した浅村は、(ありがたいことに)翌年のホーム打率が上昇した。しかし、ゴロ傾向が弱く、恐らく芝の変更に成績が左右されないと予想された選手は、ゴロ傾向の強い打者と同様に、(やはりと言うべきか)ホーム打率が上がる打者もいれば下がる打者もいた。

 これらのことから、選手の打率の変化に、ホーム球場の芝の変化が強い説得力を持つ要因であるとは言い難くなった。

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◆芝への苦戦を予想したから? ホーム打率が上がった選手はシーズン打率も上がった

 しかし、ホーム打率の変化が、シーズン打率に直結するかどうかみてみると、思わぬ産物が得られた。

 ホーム打率を上昇させた選手はみな、ゴロ傾向によって違いがみられたわけではないのだが、シーズン打率を上昇させていることがわかった。

 実は、先ほどの秋山の言葉には続きがあった。秋山は「打球が(芝に)食われるのは僕のようなゴロヒッターには厳しい面もある」のあとに、「スキルを上げるチャンスと捉えたい」と話していた。苦戦が予想される本拠地での試合に備えて、選手各人が打撃技術の向上を追い求めた結果として、ホーム球場だけでなくシーズンを通してのパフォーマンスの向上につながったのだと思いたい。

 

◆東京ドームを本拠地とする巨人の選手への影響は?

 今シーズンから芝が変わる東京ドームを本拠地とする巨人の選手はどうだろうか。作シーズンの傾向から見るに、ゴロ傾向が強い打者は田中俊太、大城卓三、吉川尚輝、陽岱鋼小林誠司となるが、ゴロ傾向の強さと芝の変更が、打撃成績を上昇させる強い要因であるとは言えないことはすでに述べたとおりだ。

 しかし、ホーム打率が上昇すると選手はみなシーズン打率も向上させたという、先程得られた副産物に当てはめて考えるとどうだろう。

 昨シーズン、ホーム打率がシーズン打率を上回った選手は、陽、小林、ゲレーロ、亀井の4選手だった。今シーズンもシーズン打率をホーム打率が上回るような成績を残すことができれば、昨シーズンよりも打率が向上するかもしれない。

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 芝の変化が選手のプレーにどう影響するのか、あるいはしないのか―。

 今回はそれを考える良い機会となった。

 

“内海ショック”の鎮痛剤 今村信貴

◆左の先発投手候補の中で内海の後継者に最も相応しいのが今村

 内海が人的保障でライオンズに移籍するとなったとき、チームの顔であり実績抜群のベテランの移籍というショッキングな移籍とあって、大きな話題となった。

 だが、そんな内海の後を受け継ぎ、“内海ショック”を払拭するような活躍が期待されるのが、8年目左腕の今村信貴だ。

 ここまでオープン戦で3試合に登板し、10日の阪神戦に先発し5回を無失点に抑えるなど、ローテーション入りをアピールしている。

 昨シーズンからの復活が期待される田口麗斗、球団史上初の2試合連続無失点勝利を記録した来日二年目のメルセデス、ドラフト1位ルーキーの高橋優貴らも左の先発候補となるが、“内海の後継者”となると、この今村こそが相応しいのではないかと考える。

 

◆内海と今村の投球割合と変化球の軌道

 どうして今村が内海の後継者だと考えるか。そのひとつに、球種ごとの投球割合がある。

 球種を大きく「ストレート系」「カーブ系」「フォーク系」「その他」に分類し、昨シーズンの投球割合を主な先発左腕ごとに内海と比較してみる。   

 まず、内海の球種割合だが、ストレート系が55.5%、カーブ系が19.7%、フォーク系が24.8%となっている。フォーク系の割合がこの中で最も高いのが特徴だろう。

 このフォーク系の投球割合に注目したとき、内海の投球スタイルに最も近いのが今村だ。カーブ系の比率がやや高いものの、ほかの投手と比較してフォーク系の投球割合が8~9%ほど多くなっている。

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 また、変化球の特徴として、大きな弧を描くようなカーブも両投手に通じるものを感じる。なお、内海の場合はそれに該当する変化球がしばしばスライダーと言われることもある。ただ、表記や認識の違いはあれど、“大きな弧を描くようにボールからストライクに入る変化球”といえば、ある程度認識は一致するだろう。

 フォーク系の比率の多さと似たような軌道のカーブ系の変化球を持つ。この類似点というのが、今村が内海の後継者と考える理由だ。

 

◆内海直伝のカットボールが、苦手とする右打者への新たな武器となるか

 今シーズンの左の先発候補として期待される今村だが、看過できない課題もある。

 それは、右打者との対戦成績だ。

 3試合に登板したオープン戦の投球成績をみてみると、対左打者の被打率は.105とよく抑えているが、対右打者の被打率は.292と打ち込まれている。左投手は左打者よりも右打者を苦にするとはいえ、この被打率はもう少し下げたいところだろう。

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 だがそれは、今村本人が一番自覚していることもかもしれない。

 今村は憧れの選手に内海の名前を挙げているが、その内海の自主トレに同行した際、今村は内海から直接カットボールを指導された。右打者の内側に食い込むこの変化球を投げ込めるようになれば、大きな武器となることだろう。

 

 

 昨シーズンはプロ初完封を含む自己最多の6勝をマークし、クライマックスシリーズでは初戦の先発に抜擢された。さらに、今シーズンからは投手キャプテンに任命された。内海も巨人時代、投手陣のまとめ役を担った。内海の後継者として期待されるのは、投球術や成績だけではないはずだ。

 “憧れ”から“後継者”へ、そして将来的には“左のエース”へ。

 飛躍への第一歩はすでに踏み出した。

 

左の強打者不足解消のキーマン 村上宗隆

◆NPB全体で浮彫となる左の強打者不足

 丸佳浩筒香嘉智柳田悠岐、T-岡田。

 ここ5シーズンのいずれかで12球団の本塁打数ランキングのトップ10に入った左打者だ。

 5シーズンのトップ10なので全50選手分、そこから重複する選手を除くと28選手の名前が挙がる。28選手のうち、右打者が24選手、左打者が4選手…。

 ちなみに、昨シーズンに記録された1681本の本塁打は、右打者1045本、左打者591本、両打ち45本という内訳だ。

 NPBは恐らく、左の強打者不足にある。

 その中でも最も左の強打者不足にあるのが、東京ヤクルトスワローズだと思う。

 しかし、それを解消するキーマンがヤクルトにはいる。

 今回は、ヤクルトが左の強打者不足にあることを示すデータと、それを解消し、今シーズンの飛躍が期待される左の大砲候補をみてみたい。

 

◆昨シーズンの左打者本塁打数は12球団ワースト3位、左右打者の均等度合いは最下位

 上でも述べた通り、ヤクルトの左打者の長打力不足が課題だ。

 球団別に左打者の本塁打数を見ると、トップはソフトバンクの93本、最下位は中日の24本となる。件のヤクルトは32本でワースト3位だ。

 これだけでは、一見すると中日の方が左打者の課題が顕著であるように見えるが、問題は次だ。

 各チーム内の本塁打数の比率を、右打ち・左打ち・両打ちで見てみる。たとえば、12球団トップの本塁打数を記録したソフトバンクなら、202本の本塁打のうち右打者が109本で53.96%、左打者が93本で46.04%となる。右打者と左打者の比率の差が少なく、ソフトバンクでは左右どちらの打者からも均等に本塁打が出ていることがわかる。

 その均等度合いを示したもの、ここでは便宜的に「R-L%」と言い表すこととする。この数値が低いほど、左右の偏りが少なく、均等に本塁打が出ていること示す。なお、ソフトバンクのR-L%は、12球団2位の7.58と、本塁打数だけでなく均等度合いも高く、そういう意味でも12球団でトップクラスの重量打線といえる。

 この指標を用いて、ヤクルトの打線を見てみる。昨シーズンのヤクルトのチーム本塁打135本のうち、右打者103本、左打者32本となっている。これは、38本塁打を記録したバレンティン、34本塁打を記録した山田哲人の存在が大きい。しかし、左打者の最多本塁打が雄平の11本と、左右の打者で大きな差が生まれ、ヤクルトのR-L%は52.59%と、12球団ワーストの結果となった。このことから、ヤクルトは12球団でもっとも左の長距離打者の育成が必要なチームであるといえるかもしれない。

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◆超強力打線の最後のピース 村上は岩村を超えられるか

 ヤクルトの左打者で30本以上の本塁打を記録したのは、ガイエルが35本の記録した2007年、生え抜きでは岩村明憲が32本を記録した2006年までさかのぼる。

 昨シーズンはリーグトップのチーム打率を記録したヤクルトだが、左打者は雄平の11本、青木の10本、川端と坂口の3本が上位3選手と物足りなさを感じる。この中に岩村クラスの左の強打者が入れば、昨シーズンリーグ2位の得点をあげた強力打線により厚みが増すはずだ。

 

 その岩村クラスの左の強打者になると期待される選手が、プロ2年目の村上宗隆だ。

 2017年にドラフト1位で入団し、プロ1年目の昨シーズンは初打席初本塁打という鮮烈なデビューを飾った。2軍では98試合に出場し打率.288、17本塁打、70打点を記し、イースタンリーグの優秀選手賞に輝いた。3月9日、10日のメキシコ戦では最年少の19歳で侍ジャパンに選出された。オープン戦もここまで5試合連続安打を記録するなど好調を維持している。

 

 高校時代の捕手からプロでは三塁手へ転向、左打者、高卒の長距離打者、さらに、同じく一年目に二軍のオールスターに出場。岩村は一年目に打率.316を記録し、二年目には18本塁打本塁打王を獲得した。選手のタイプだけでなくキャリアの積み方にまで、現在の村上にかつての岩村の姿を重ねてしまう。

 

 目標となる偉大なOB、清宮や安田といった同世代のライバル、最年少代表選出。

 こんなに注目せずにはいられない選手は、そういない。

 

復活のベテラン、躍動する若手 阪神の熾烈な二遊間争い

空前絶後? 6選手で繰り広げる二遊間争い

 根尾や小園という新人のショートが多くの話題をさらうが、阪神のショート事情も面白い。

 ショートとして5度のゴールデングラブ賞受賞をはじめとする数々の功績を積み上げてきた鳥谷が、3年ぶりにショート復帰を宣言した。

 今シーズンの阪神のショートは、昨シーズンから継続してレギュラーを競う北條史也と植田海のほか、キャンプから好調を維持している一年目の木浪聖也を含め、4選手による激しいレギュラー争いが繰り広げられている。

 ショートだけではない。

 セカンドは昨シーズン、初の全試合出場を果たし、今シーズンから主将を務める糸原健斗がいるが、これに対抗するのが上本博紀だ。

 昨シーズンの上本は開幕からセカンドの座を勝ち取ると、4割を超える高打率を維持していた。しかし、5月5日の中日戦で左膝を負傷したことで、その後のシーズンを棒に振った。FA残留も宣言し、怪我からも順調な回復を見せる上本が、阪神の新たな看板選手となりつつある糸原との正二塁手を争う。

 では実際、どの二遊間コンビが最もチームにとって理想的なのか。ここ数年の二遊間のパターンを振り返りながら考えたい。

 

◆経験豊富なゴールデンコンビ、上本・鳥谷

 2014年から全716試合のスタメンで、どの二遊間コンビが最も多かったのか見てみる。

 1位は236試合で「上本・鳥谷」のコンビだ。特に、2014年は128試合、2015年は103試合でコンビを組むなど、近年の阪神をけん引した二遊間コンビだった。

 ここ数年は、鳥谷のコンバート、上本の故障などでコンビ機会が激減するが、2月17日の日ハムとの練習試合で3年ぶりにコンビが復活した。これ以降の実戦でもこのコンビでの二遊間起用が多く見られるようになった。

 実績と経験ではナンバーワンのコンビだろう。

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◆将来のタイガースをけん引する新コンビ、糸原・北條or植田、大穴の木浪

 昨シーズンに限ると、最も多い二遊間のコンビは、47試合で「糸原・北條」だった。

 特に北條は、鳥谷がショートからコンバートされて以降の2年間で最も多いイニングでショートの守備についている。

 昨シーズンは規定打席未到達ながら打率.322をマークするなど、打撃でも力を発揮している。

 そんな北條とショートを争う植田は、42試合で糸原とコンビを組んだ。

 打率は.192と課題を残したが、チーム2位の19盗塁を記録した。昨シーズン、二軍で阪神がウエスタン新記録の盗塁数を記録した際に采配を振るっていた矢野監督が、今シーズンから一軍の監督に就任したが、高い走塁能力を持つ植田が正遊撃手として起用される可能性も十分にある。

 実戦ではここまで、糸原とともにスタメンからコンビを組むのは北條が多いところを見ると、北條が一歩リードといったところだろうか。

 ドラフト3位ルーキーの木浪の存在も面白い。実戦で7試合連続安打を記録しており、バットで存在感を示している。実戦では内野の様々なポジションをこなすが、社会人時代の本職はショートだ。青森山田亜細亜大学、HONDAとアマチュア球界でエリートの道を進み、即戦力として開幕からショートを守っていてもなんら不思議ではない。

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◆勝ちにいくなら勝率ナンバーワンのコンビ、上本・北條

 近年最多コンビの「上本・鳥谷」は.504、昨シーズン最多コンビの「糸原・北条」は.447。

 これは、それぞれのコンビでスタートした試合の勝率だ。

 勝率5割を上回っている「上本・鳥谷」のコンビは、試合数だけでなく勝率という面から見ても最も安定したコンビといえるかもしれない。

 逆に、勝率5割を下回った「糸原・北条」はまだコンビとして発展途上ともいえる。もしこのコンビで今シーズンを戦うなら、思い切って育成に充てるという割り切り方も必要かもしれない。

 最も高い勝率を記録するのが、53試合でコンビを組み勝率.642をマークする「上本・北條」のコンビだ。

 勝率の点からもベストコンビといえるかもしれないが、二塁手として実績のある上本がショートとして伸び盛りの北條を引き上げるような形が実現すれば、次世代を見据えた戦力強化もスムーズに進むかもしれない。

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 実戦ではここまで、「上本・鳥谷」、「糸原・北條」のコンビがスタメン起用されている。

 しかし、植田も木浪も、そしてほかの選手も黙っていないだろう。

 だが、開幕で二遊間のスタメンを勝ち取れるのは2人だけだ。

 実績か将来性か―。阪神ではいま、熾烈な二遊間争いが繰り広げられているのだ。

 

 

ベイスターズの先発右投手事情

◆左腕王国に変化が? 2人の新人右腕が華々しい対外試合デビュー

 20日のロッテとの練習試合で、2人の新人投手がデビューした。

 ドラフト1位入団の上茶谷大河(東洋大)と3位入団の大貫晋一(新日鐵住金鹿島)は、それぞれ2イニングを無失点に抑え、幸先の良いスタートを飾った。

 近年のベイスターズの新人投手は、1年目ながら投手陣の中心として活躍する傾向にある。今回の対外試合デビューで、今年のルーキーにも大きな期待を寄せるファンもさらに増えたのではないだろうか。

 現在のベイスターズは、昨シーズンのセ・リーグ新人王を受賞した東克樹をはじめ、濱口遥大や今永昇太、昨シーズンまで2年連続で開幕投手を務めた石田健大らが揃う。しばしば“左腕大国”や“左腕カルテット”と称されるように、先発の左腕が充実している。

 だが、今年新入団のルーキーは上茶谷と大貫をはじめ、投手は全員右腕だった。

 この背景には、先発右腕不足にあえぐチーム事情が関係しているのだろうと考えられる。

 今回は、昨シーズンのベイスターズの先発投手事情を振り返り、今シーズン飛躍が期待される右の先発投手候補となる選手を選出したい。

 

◆平良や京山など若手の台頭、チーム事情に振り回された井納

 昨シーズンのベイスターズで先発を任された主な右投手は、平良拳太郎(13試合)、京山将弥(12試合)、バリオス(10試合)、飯塚悟史(9試合)、井納翔一(7試合)だ。この中で貯金を作れたのは、平良(5勝3敗)のみだった。高卒2年目の京山は、球団史上初めてデビュー戦から2戦2勝を記録するも、その後は一軍と二軍を行き来し、6勝6敗に終わった。

 起用法に難を感じざるを得なかったのは、井納だ。開幕前にリリーフへ配置転換されるも、その後は起用法が定まらなかった。シーズン終盤には再び先発として起用され、昨シーズン挙げた6勝のうち、4勝を先発として挙げた。2014年には11勝を挙げた実績もあり、復活が待たれる。

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◆右投手の立て直しが急務の先発投手陣

 昨シーズンのベイスターズの勝敗責任投手を、先発と中継ぎ、右投手と左投手別で整理してみた。こうすると、先発右投手への課題が浮き彫りとなる。

 67勝のうち、先発の勝ち星は40勝だった。さらにこのうち、右投手は21勝、左投手は19勝と、一見すると右投手の方が勝利への貢献度が高いように見える。しかし、先発投手がそのまま敗戦投手となった58敗のうち、右投手が31敗、左投手が27敗だった。これらをふまえ、勝率を計算すると右投手が.404、左投手が.413となった。

 左投手の勝率も5割を切るが、これは今永と濱口の不調が大きな要因であると考えられ、今シーズンの復活に期待したいところだ。しかし、先発要員の頭数が不足し、その上で勝率も低い右の先発投手陣には、早急に対策が講じられるべきだろう。

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◆上茶谷、大貫、さらに2年目の阪口に期待

 こうしたチーム状況の中、活躍が期待されるのが、冒頭に名前が挙がったルーキーの上茶谷と大貫だ。

 上茶谷はロッテとの練習試合で自己最速タイの152キロを計測した。元中日のエース、川上憲伸を彷彿とさせるカットボールが武器で、ラミレス監督もそのボールを絶賛する。近年のドラフト1位入団投手の活躍の波に乗り、一年目から中心投手として活躍したい。

 上茶谷と同じ日に対外試合デビューを果たした大貫は、大学時代にトミー・ジョン手術を経験している。社会人から頭角を現し、今年で25歳を迎える遅咲きの苦労人だ。コントロールに定評があり、キャンプから新球となる2種類目のツーシームの取得に着手するなど、本格派として期待される。

 さらにもう一人、2年目の阪口皓亮にも注目だ。昨シーズンの一軍登板はなかったものの、U-23野球日本代表として2試合に先発し、国際大会も経験した。今季初の対外試合となる16日のヤクルト戦で先発を務めるなど、首脳陣からの期待の高さがうかがえる。試合では立ち上がりにエラーと四球が絡んだ失点を喫するなど、今シーズンの幕開けはほろ苦いものとなったが、飛躍が期待される一人だ。

 

 昨シーズン不振に苦しんだ左腕投手陣の復活も欠かせないが、戦力は申し分ない。あとは、右の先発投手で1年間ローテーションを守ることができる投手が現れれば、21年ぶりのリーグ優勝も見えてくる。

 今シーズンのベイスターズは、右の先発投手に注目したい。