ほーりーの野球日記

ほーりーの野球日記

自分の観方で野球を紹介します

茂木は12球団最強先頭打者

  私世代の野球ファンに、「記憶に残る1番打者は?」と聞くと、松井稼頭央と返ってくることが多い。02年には打率.332、36本塁打、33盗塁で史上8人目、両打ちでは初のトリプルスリーを達成した。打率と193安打はキャリアハイで、最多安打のタイトルも獲得。西武の4年ぶりのリーグ優勝の原動力となった。52年ぶりに更新したシーズン88長打は現在もプロ野球記録だ。

 そんな松井稼頭央に並ぶ一番打者になるのではないかと期待がかかる打者が、楽天の茂木栄五郎だ。8月9日、今季6本目となる先頭打者本塁打を放ったが、その一打で02年の松井に並ぶ、初回先頭打者初球本塁打シーズン3本のパ・リーグタイ記録を達成した。今季2年目の茂木は球団生え抜きでは初となる2桁本塁打を記録するなど、ここまで優勝争いを繰り広げる楽天にとって、欠かせない存在となった。

 そんな茂木が松井稼頭央に並ぶ打者となりえる理由は、1番打者として残している高い成績にある。これを見れば、茂木の1番打者としていかに優れているかがわかる。そして、茂木が現役最強のリードオフマンになりえる可能性を秘めていることも同時にわかることだろう。

 

◆今年、リードオフマンとして活躍している選手は6人

 まず、8月11日時点で各球団どの打者が最も多く1番打者を務めているのかを見てみる。すると、以下の通りになる。太字にしている選手は、チームの全試合数のうち半試合以上に1番として出場し、且つ、規定打席に到達している選手を示す。

 

ソフトバンク 川﨑(34試合/103試合)

楽天     茂木(64試合/95試合)

西武     秋山(85試合/101試合)

オリックス  宮崎(25試合/100試合)

日ハム    西川(83試合/99試合)

ロッテ    荻野(28試合/100試合)

広島     田中(105試合/105試合)

阪神     高山(46試合/101試合)

横浜     桑原(102試合/102試合)

巨人     長野(38試合/103試合)

中日     京田(75試合/105試合)

ヤクルト   坂口(64試合/104試合)

 

 それによると、茂木を含む6選手が、いわゆるリードオフマンを務めている。ここでは茂木との比較対象選手を西武・秋山、日ハム・西川、広島・田中、横浜・桑原、ヤクルト・坂口とする。

 6選手の今季の打撃成績が以下の通りとなる。こうしてみると、秋山が突出した成績を残していることがわかる。打率、本塁打、打点、出塁率、得点の5部門でトップだ。さすが、シーズン最多安打記録保持者といったところである。

 

 

打率

本塁打

打点

盗塁

出塁率

得点

長打率

茂木

.303

15

40

.377

49

.551

秋山

.335

20

65

12

.423

83

.568

西川

.298

24

27

.373

59

.398

田中

.294

44

24

.391

76

.391

桑原

.276

12

40

.349

68

.349

京田

.278

27

19

.310

50

.310

坂口

.278

30

.357

39

.357

 

◆初回先頭打者として迎える打者としてもっとも脅威なのは茂木

 ところが、リードオフマンとしての本領を発揮する場面での成績を見たらどうだろうか。6選手のうち、1番打者としての第一打席だけの成績だけを見てみる。すると、以下の通りになる。

 

 

打率

本塁打

出塁率

長打率

先頭打者能力指数

茂木

.315(3)

6(1)

.390(2)

.719(1)

秋山

.270(7)

4(3)

.364(5)

.459(3)

18

西川

.280(6)

0(7)

.349(6)

.400(6)

25

田中

.347(2)

0(7)

.428(1)

.410(5)

15

桑原

.319(4)

4(3)

.372(4)

.521(2)

13

京田

.356(1)

0(7)

.373(3)

.438(4)

15

坂口

.288(5)

0(7)

.343(7)

.338(7)

26

 

 こうしてみると、秋山が通算成績ほどの実力を発揮できていないことがわかる。一方茂木は、打率、出塁率長打率で通算成績を上回っており、本塁打数15に対し、6本を初回先頭打者として記録している。これだけでも茂木のリードオフマンとしての能力の高さがわかるが、現役最強のリードオフマンという理由はこれだけではない。

 6選手のそれぞれの成績を順位として表してみる。各部門の順位に応じた数字を得点化し、4部門の合計点数が最小の選手が、最も優れたリードオフマンということにする。グラフ内の括弧内が順位=ポイントを示し、その合計を、先頭打者としての総合的な能力を表す「先頭打者能力指数」とする。

 その結果、茂木が「7」と、一人だけ1桁台を記録したのだ。特に、今季最多数の初回先頭打者本塁打を記録していることもあり、長打率も高い。ここまで攻撃型の1番打者というのは投手から見て脅威だろう。

 

◆盗塁数は少ないが、走塁能力は高い

 ただ、通算成績を見てもわかる通り、盗塁数に1番打者としての課題があると思われる。しかし、走塁技術が低いわけではない。

 1年目だった16年シーズンは11盗塁と決して多い盗塁数ではなかったが、12球団最小の56盗塁というチーム状況の中では目を見張るものがある。同年8月25日、9月19日にはランニングホームランを記録し、2リーグ制後でシーズン2本のランニング本塁打は92年巨人の川相昌弘以来13人目(14度目)で、新人では茂木が初めてだった。さらに、同年では三塁打も7本マークし、オリックスの西野と並びリーグ最多タイを記録した。つまり、盗塁数が少ないだけで、走塁能力は高いのだ。チームの方針次第では、茂木の走塁能力も成績として現れることだろう。

 

 現在日本プロ野球には坂本を筆頭に、多くのスターショートが活躍している。ネームバリューでは坂本が圧倒的で、源田や京田といったニューヒーローも誕生するなど、前々回に書いた通り、ショートのスター選手は多い。

 その中でも茂木は突出した打撃力を持つショートであり、それが、次世代の松井稼頭央になりえる可能性があると私が考える理由だ。

 いまは肘の怪我もあり、慣れないDHでの出場が続いているが、一日も早く状態を回復してもらって、グラウンドで躍動する茂木のプレーを見せてもらいたい。

 

 

清宮の進路相談

  7月30日、第99回全国高校野球選手権大会西東京予選決勝が行われた。

 プロ注目のスラッガー早稲田実業の清宮幸太郎はここまで歴代最多タイとなる高校通算107本塁打を放っており、早稲田実業の甲子園出場と清宮の新記録達成を一目見ようと、朝7時前からすでに開門し、31000人収容の神宮球場が試合開始前には満員と発表された。

 結果は、ここまで3年連続決勝で敗退している東海大菅生が17年ぶりの甲子園出場を決め、清宮の甲子園出場と記録達成への挑戦は終わった。

 清宮の高校通算本塁打には、周りの偏屈で不寛容な一部の大人たちから難癖ともいえる指摘が後を絶たない。大人たちよ、言いたいことはわかるが、そんなことはどうでもいいじゃないか。と個人的には言いたくなる。

 大事なことは、これからの人生(プロ?大学?)をどう過ごすかだ。今回は、大変恐縮ながら、清宮が今後送る野球人生でどのようなモデルケースが考えられるのか、過去の高校野球界の強打者を参考に考えてみたい。

 

◆高校通算50本塁打以上を記録した選手の進路先

 高校時代に強打で注目された打者は、どのような進路を選んだのだろうか。ここでは高校時代に50本以上の本塁打を記録した打者(清宮を除く)35人をサンプルに見てみる。すると、全選手の進路先としてプロが最も多く、85.7%=30人がプロに進んでいることがわかった。次いで大学が11.4%=4人、社会人が2.9%=1人だった。プロに進むのが妥当なのかと思ってしまうほどの差があることがわかる。

 高校からプロに進み、そのうちで成功を収めることができたのはどのくらいか。ここでは、プロ通算4000打席以上、プロ通算100本塁打以上、打撃タイトル獲得、代表歴がある、の4項目のうち1~2項目に該当していれば「成功」、3項目以上なら「大成功」=成功群、ゼロなら「失敗」=非成功群ということにする。

 

高校通算50本塁打以上を記録した選手の進路先

 

大成功

成功

失敗

合計

プロ

11

4

15

30

大学

2

0

2

4

社会人

0

0

1

1

合計

13

4

18

35

 

 高卒プロで成功群の成績を収められたのはちょうど半数。また、サンプル数は少ないものの、大学進学後にプロに入団した選手でも4選手のうち2選手が成功群の成績を収めることができた。やはり、高校で50本以上の本塁打を打てる打者には、レベルアップした環境でも成功を収められるだけの選手が多いということなのだろうか。

 

◆もしプロに進んだら、実働7年目までに結果が求められる

 ただ、成功した選手と同数の成功を収めることができなかった選手もいるのは事実だ。この違いはなんだったのだろうか。

 高校卒業後プロに進んだ成功15選手のブレイク時の成績を見てみる。今宮と中村は高校時代とはプレースタイルが変わっているため、あまり参考にならないかもしれないが、その2選手を除いた全ての打者がブレイク年時に10本以上のホームランを記録している。早くから活躍するに越したことはないが、遅くとも7年目までにある程度の打席数を打てる選手に成長し、その中で10本以上の本塁打を打つことが成功への第一歩かもしれない。

 

成功群のブレイク年数と成績

選手

高校本塁打

頭角を現した年

(実働年数/プロ年数)

打率

本塁打

打点

中田 翔

87本

2011(3/4)

.237

18

91

鈴木 健

83本

1993(5/6)

.270

13

51

中村 剛也

83本

2005(3/4)

.262

22

57

城島 健司

70本

1997(3/3)

.308

15

68

平田 良介

70本

2011(6/6)

.255

11

38

筒香 嘉智

69本

2012(3/3)

.218

10

45

清原 和博

64本

1986(1/1)

.304

31

78

今宮 健太

62本

2012(2/3)

.238

2

14

江藤 智

61本

1991(2/3)

.215

11

31

松井 秀喜

60本

1993(1/1)

.223

11

27

中村 晃

60本

2013(3/6)

.307

5

44

山崎 武司

56本

1995(7/9)

.291

16

39

大谷 翔平

56本

2014(2/2)

.274

10

31

岡田 貴弘

55本

2010(3/5)

284

33

96

吉岡 雄二

51本

1998(5/8)

.268

13

32

 

 続いて、非成功群を見てみる。

 古木は順調に進めば成功群入りすることもできた可能性があったことが悔やまれることだろう。しかし、それ以外の選手はブレイクの兆しはおろか、特に目立った活躍もないまま、あるいは一軍未出場のまま引退するケースが非常に多い。引退した選手は平均すると11.3年でプロ生活を終えている。

 プロ7年目までに結果を残せなかったら、それ以降の数年でしかるべき処遇を覚悟した方がいいのかもしれない。しかし、今年日ハムの大田がプロ9年目でブレイクの兆しを見せている。これまでのジンクスを破るような活躍に期待したい。

 

非成功群のプロ7年目までのブレイクの兆し

選手

高校本塁打

プロ7年目までの

ブレイクの兆し

現在(年数)

打率

本塁打

打点

黒瀬 健太

97本

一軍未出場

現役(2)

-

-

-

大島 裕行

86本

2003(2/4)

引退(13)

.307

7

33

高橋 周平

71本

2016(5/5)

現役(5)

.251

4

29

奥浪 鏡

71本

16年一軍初出場

現役(4)

-

-

-

平尾 博司

68本

代打や守備要員

引退(18)

-

-

-

藤島 誠剛

68本

特になし

引退(11)

-

-

-

吉本 亮

66本

特になし

引退(9)

-

-

-

大田 泰示

65本

特になし※今後に期待

現役(9)

-

-

-

筒井 孝

60本

一軍未出場

引退(5)

-

-

-

萩原 誠

58本

特になし

引退(8)

-

-

-

山口 幸司

56本

特になし

引退(11)

-

-

-

古木 克明

52本

2003(4/4)

引退(10)

.208

22

37

嘉勢 敏弘

52本

特になし

引退(9)

-

-

-

大久保 博元

52本

1992(7/8)

引退(10)

.277

15

43

 

◆大学進学はわずか2例

 次の進路候補として、大学・社会人ルートを見てみる。

 大学進学は4選手、社会人進学は1選手おり、5選手のうちプロに進んだのは稲葉篤紀松田宣浩の2選手だ。この2選手は文句なしの成功群入り選手であるが、プロ入りしなかった3選手のうち1人はすでに引退し、あとの2人は現在も社会人野球でプレーしている。

 サンプルが少ないこと踏まえた上であえて言うとすれば、大学に進学してプロに進めば、成功群に入る可能性が高いということだろうか。余談だが、プロ入りしなかった3選手はいずれも神港学園(グラウンドがとにかく小さいことで有名)出身の選手であることも興味深い。

 

◆清宮が掲げた目標の達成=成功群へのエリートルート

 最後に、当時中学3年生だった清宮がテレビの取材で語った将来の目標があるので、それを紹介して終えたい。以下、清宮が語った数年後の目標だ。

①甲子園で大暴れ

②20歳で日本代表入り

③10年後(=2024年、25歳)で本塁打王

 ①の「甲子園で大暴れ」については、1年夏の2本の本塁打をしっかりと覚えておきたい。

 ②の「20歳で日本代表入り」というのは、大学でもプロでも2年目にあたる。20歳での代表入りは2009年の第2回WBC田中将大が選ばれており、他の大会でも長谷部(当時愛知工業大学)や大瀬良(当時九州共立大)などがプロ選手に混ざって選出されたため、大学に進学しても可能性としてはゼロではない。20歳になる年、2019年には第2回プレミア12が予定されており、一部によるとこれが東京五輪の予選を兼ねるのではないかともいわれている。

 ③の「10年後で本塁打王」について、25歳というのはもし仮に高校卒業後にプロ入りすると奇しくもここまで重要な分岐点として紹介してきた7年目にあたる。過去の成功群の例で見ると、全選手が7年目までにブレイクを果たしており、7年目でホームラン王を獲れたら、この成功群入りする可能性が一段と高まる。

 

 プロに進めば7年目、大学に進めばプロ3年目となる2024年。それまでに清宮がどのような活躍を見せてくれるのか楽しみだ。

 

清宮の人生年表予想

年齢

所属

代表戦

清宮の目標

2014年

15歳

中学3年生

 

 

2015年

16歳

高校1年生

第1回プレミア12

甲子園で

大暴れ

2016年

17歳

高校2年生

 

2017年

18歳

高校3年生

第4回WBC

2018年

19歳

大学1年生

プロ1年目

 

 

2019年

20歳

大学2年生

プロ2年目

第2回プレミア12

日本代表入り

2020年

21歳

大学3年生

プロ3年目

東京五輪

 

2021年

22歳

大学4年生

プロ4年目

第5回WBC

 

2022年

23歳

プロ1年目

プロ5年目

 

 

2023年

24歳

プロ2年目

プロ6年目

第3回プレミア12

 

2024

25

プロ3年目

プロ7年目

 

本塁打王獲得

2025年

26歳

プロ4年目

プロ8年目

第6回WBC

 

 

 

遊撃手全盛期到来か

  坂本勇人今宮健太、田中広輔、安達了一、これらが恐らく昨年まで日本のショートストップと聞いて名前が思い浮かぶ代表格だろうか。新たに今年、2人の新人内野手が新たに躍動している。中日の京田と、西武の源田だ。2選手はともにルーキーながら、開幕からショートのレギュラーとして好成績を残している。

 彼ら以外にも、楽天では生え抜き日本人選手で球団史上初の2桁本塁打を記録した茂木、日ハムは2年連続全試合出場の中島がチームのレギュラーとして定着し、DeNAの恐怖の9番打者として機能する倉本、阪神で熾烈なレギュラー争いを繰り広げる糸原と北条など、各球団遊撃手の話題には事欠かない。

 そう、日本プロ野球は今、遊撃手全盛期が訪れているのだ(個人的にはそう思う)。その中でも著しい活躍を見せている京田と源田は、遊撃手全盛期の訪れの象徴的な存在である。7月26日には源田が球団記録を更新する26盗塁を記録し、翌27日には京田が福留以来となる新人での100安打を記録した。ともにいまやチームにとっては欠かせない存在となっていることはいうまでもない。

 

◆12球団でもトップを誇る源田の守備貢献度

 ショートというポジションは、やはり堅実且つ華麗な守備が見せ場だろう。ショートは昔から内野の花形であり、スター選手も多い。ただ、守備の達人であることが必須条件だ。その点では、京田と源田ならば、源田のほうが秀でた守備力を持っているといえるかもしれない。

 守備力の総合的な貢献度を示すUZRを見ると、源田は12球団の名だたるショートを抑え、現在1位の15.2を記録している。この数値は、過去二年間のゴールデングラブ賞受賞遊撃手4選手よりも高い(15年のUZRトップはGGを逃した坂本で源田よりも高い)。つまり、源田はルーキーにも関わらず、日本のトップの守備力を持ったショートになる可能性があるということだ。

 

Inn

DPR

RngR

ErrR

UZR

源田壮亮

792 2/3

1.5

15.5

-1.9

15.2

京田陽太

775 2/3

-0.8

-0.4

0.3

-0.9

坂本勇人

786

2.4

6.5

2.2

11.1

安達了一

586 1/3

1.9

-0.2

2.5

4.2

今宮健太

753 1/3

-1.8

2.9

2.9

4.7

中島卓也

576 2/3

-1.6

3.6

-1.5

0.5

茂木栄五郎

478

1.0

-0.7

0.0

0.2

田中広輔

838 1/3

1.0

-3.3

-1.0

-3.4

三木亮

442 1/3

-1.5

-3.8

0.1

-5.2

大引啓次

565 1/3

-1.3

-5.9

0.7

-6.4

倉本寿彦

816

0.5

-8.8

-1.2

-9.4

※7月29日現在(データはDELTA社より)

※用語

Inn…守備イニング

DPR…内野手の併殺完成による貢献

RngR…打球処理による貢献

ErrR…失策抑止による貢献

UZR…守備全般での貢献

 

◆個人打撃は京田のほうが優れているが、チームの勝利貢献度では源田

 打撃部門では、打率とOPSで京田が源田を上回っている。しかし、打点や盗塁、さらには勝利貢献度を示すWARでは源田が京田の倍以上の数値を示している。個人としての打撃能力は京田の方が優れているものの、その打撃能力がチームの勝利にどれだけ貢献できているかという点では、源田のほうが高いということだろうか。

 

打率

本塁打

打点

盗塁

OPS

WAR

源田壮亮

.263

3

33

27

.659

3.6

京田陽太

.287

2

21

16

.685

1.4

坂本勇人

.337

11

48

11

.908

5.6

今宮健太

.284

6

33

10

.752

3.5

田中広輔

.304

3

42

20

.805

3.3

倉本寿彦

.258

1

25

3

.601

-1.4

※7月29日現在で規定打席に到達している遊撃手(データはDELTA社より)

※用語

OPS出塁率長打率。数値が高いほど、打席当たりでチームの得点増に貢献する打撃をしている打者だと判断することができる。

・WAR…様々な指標を総合して、ある選手が走攻守の全てを合わせて、どれだけ勝利に貢献したかを評価するもので、「控えレベルの選手が出場する場合に比べて、どれだけチームの勝利を増やしたか」を表している。

 

◆アマチュア時代、スターだった京田と堅実だった源田

 守備力や勝利貢献率、オールスター出場など、プロの舞台では源田の活躍のほうが半歩ほどリードしている印象を受ける。しかし、源田のアマチュア時代が陰ならば、京田のアマチュア時代が陽だ。

 ともに甲子園出場はなかったものの、源田は大分県の県立高校、京田は青森の名門、青森山田高校で当時からプロ注目の内野手だった。京田はその後大学に進学。日大では1年春からレギュラーとして出場。3年春には一部に復帰、秋にはベストナインに選出。4年時には日米大学野球の日本代表に選出され、秋には25年ぶりとなる東都リーグ制覇を果たした。ドラフトでは源田よりも高評価の2位で指名された。

 源田は愛知大学リーグの名門・愛知学院大学に進学し、4年時には全日本大学選手権を主将・リードオフマンとしてベスト4にチームを導いた。しかし、源田はあえてプロ指導届を出さず、社会人野球への道を進んだ。源田は早くから大学卒業後は社会人へ進むことを決めており、社会人チームが多いという理由で愛知県の大学に進学したとアマチュア時代に語っている。堅実な人生設計の甲斐もあり、ドラフト3位で西武に入団。社会人時代から定評のある守備で、チームでは石毛宏典以来36年ぶりとなる開幕戦新人遊撃手スタメン出場を果たした。

 一年目から活躍する若手の内野手と一言で表現するのは簡単だが、2人のプレースタイルと球歴から考えてみると、私にはこの2選手には別々の将来性を感じた。堅実で献身的なプレースタイルが持ち味の源田は、宮本慎也井端弘和のようなタイプで、派手さがあり打撃能力がある京田は松井稼頭央西岡剛のようなタイプになっていくのかもしれないと、私は勝手に想像した。

 ちなみに、それぞれお手本にしている選手は、源田が小坂誠、京田が荒木雅博だ。源田なら野球ファンの記憶に残るような名手に、京田なら将来2000本安打を打てるような選手になれる日が来るかもしれない。

 今後も、この2人のニューヒーローから目が離せない。

 

出典:「週刊ベースボール」2014年8月25日号、2016年5月16日号、2017年4月24日号、2017年6月26日号

各種データはDELTA社より

 

 

中村剛也のホームラン偏差値

 

 7月19日、西武の中村剛也が通算350号本塁打を達成した。1394試合目での達成は、94年の秋山幸二ダイエー)の1355試合に次ぐ、史上7位でのスピード記録となった。

 規定打席に到達したシーズンは全シーズンでホームラン王を輝く、まさに現代最強のホームランバッターと言っても過言ではない中村だが、事実、通算本塁打数が歴代30位以内にランクインしている打者の中での本塁打率は、350号本塁打達成時点で史上5番目となる13.58を記録している。

 この記録達成をきっかけに思い出した書籍があるので、それをご紹介したい。2014年に朝日新聞出版から刊行された小野俊哉著の『プロ野球 最強のホームラン打者』という書籍だ。歴代のホームランバッターの中に中村が名を連ねており、これを読めば中村が往年のスターに肩を並べるどころか、むしろ、歴代でもトップクラスに能力の高いホームランバッターだということがわかる。

 

◆歴代2位のホームラン偏差値

 まず、その書籍で用いられる「ホームラン偏差値」なるものを説明したい。

 これは、各選手がその年度に放ったホームランのレベルを数値化した、著者の小野氏が独自に考えた指標である。単に打ったホームランだけでなく、その年度の上位選手の本塁打数の平均と比べたときの偏差がわかるというもので、それにより、活躍した年度の違う選手でも普遍的な比較ができるという点が、この指標のみそである。

 それによると、この書籍が出版された時点で、歴代で最もホームラン偏差値が高い打者とその年度は、2011年の中村剛也なのである。2011年は、いわゆる統一球が導入された最初の年であり、その影響もあり前年に比べて本塁打数はマイナス39%、リーグ全体の本塁打数が1959年以来52年ぶりに400台に沈んだ。しかし、中村はその逆風にもかかわらず、48本塁打を放ち、85.04というホームラン偏差値を記録した。

 さらに、各打者の偏差値トップ3だけを合計したランキングでも、王貞治に次ぐ歴代2位のホームラン偏差値を記録している。野村克也落合博満ランディ・バース松井秀喜など、名だたる選手を抑えての2位である。鳥肌ものだ。

 

デーブ大久保による逆転の指導法

 2002年、ドラフト2位で西武に入団した中村は、二年目には二軍でホームラン王を獲得し、四年目には22本塁打を放ち、「おかわり君」のあだ名でブレークした。しかしその後は思うように成績が伸びず、翌年から2年連続で2ケタ本塁打を逃している。2007年のオフに西武の打撃コーチに就任した大久保博元との出会いにより、中村は復活した。

 当時の渡辺久信監督から大久保は「サンペイ(中村のニックネーム)を再生させてくれ」との指示を受けた。秋季キャンプで中村のバッティングを見ていた大久保は中村に「今よりも2メートル前でボールを叩け」とアドバイスされた。アドバイスの直後、打球はレフトスタンドを超えた。そのときのことを中村はこう振り返る。

「デーブ(大久保)さんから“前で打て”と言われたとき、最初は“大丈夫かな?”と思ったんです。それまでは“近いポイントで打て”と言われていたものですから。でも、結果は出なかった。ホームランも思ったように打てなかった。それでも“やってみようかな”と思ったんです。実際、そのとおりにしたら、打球の角度や飛距離がまるで変った。これできっかけを掴んだことは事実です」

 実は近年の打撃指導として、ボールを引きつけられるだけ引きつけてポイントを後ろに置くというアドバイスが主流だった。それを大久保は「空振りしたっていい。ホームランバッターなんだから」と、追い込まれるまではポイントを前に置くように指導した。

 その成果はご周知のとおりだ。

 

 現在、日本プロ野球のシーズン最多ホームラン記録は、2013年にバレンティンが記録した60本だ。ケガなくシーズンを送ることができれば、本塁打率の計算上、不可能な数字ではないように思われる。

 現在33歳のプロ16年目。ベテランの域に差し掛かる中村にとって、この一打をはずみとし、7度目のホームラン王、そして、遠くない未来のシーズン最多ホームラン記録保持者として球史に名を残す選手になることを期待したい。

 

出典:日刊スポーツ2017.07.19

https://www.nikkansports.com/baseball/news/1858433.html

週刊ベースボールオンライン2017.07.20

http://column.sp.baseball.findfriends.jp/?pid=column_detail&id=097-20170720-13

プロ野球 最強のホームラン打者」(小野俊哉、2014年)

プロ野球の職人たち」(二宮清純、2012年)

柳田の三冠王は内川次第?

 2017年のプロ野球も、前半戦を終えた。

 オールスター戦では柳田が二日連続でホームラン競争を制し、内川とデスパイネがそれぞれ第一戦と第二戦でMVPを獲得した。パ軍では史上初となるMVPをホークス勢独占、柳田の二日連続優勝と、ソフトバンク選手の活躍が目立ち、現在2位につけるチームの後半戦の巻き返しを感じさせた。

 そんなホークスの前半戦最大の話題といえば、柳田の三冠王獲得への可能性だろう。前半戦終了時点で打率.327、23本塁打、75打点は、その時点でパリーグの主要打撃3タイトルのトップを走る。2004年の松中信彦以来となる三冠王への期待が高まる成績だ。

 しかし、長いプロ野球の歴史で7人(11例)しか成し遂げていないということを考えると、その困難さは明白だろう。実際、直近の松中以降を見るだけでも、「二冠」にとどまった打者は12人いる。

 そこで、松中以降の近代野球に生まれた「二冠王」とりわけタイトルを逃した打撃部門も上位だった=三冠王を獲り逃した打者を振り返り、柳田が三冠王を獲るには何の要素が重要なのかを、私なりに考察したと思う。

 

◆過去の「惜しかった二冠王」

 はじめに、松中以降に二冠を獲得した12人の打者の成績を振り返り、どの部門で三冠王を逃したかを見てみる。以下の通り、12人の打者が二冠を獲得しており、中でも下線の5人の打者があと一歩のところで三冠王を逃している。

 2005年、松中信彦  打率.315(3位)

 2006年、Tウッズ  打率.310(7位)

 2006年、小笠原道大 打率.313(4位)

 2007年、山崎武司  打率.261(27位)

 2009年、ブランコ  打率.275(14位)

 2009年、中村剛也  打率.285(14位)

 2010年、ラミレス  打率.304(11位)

 2011年、中村剛也  打率.269(13位)

 2012年、阿部慎之助 ホームラン27本(2位)

 2013年、ブランコ  ホームラン41本(2位)

 2015年、中村剛也  打率.278(12位)

 2016年、筒香嘉智  打率.322(3位)

 

 彼らはどうして三冠王を獲り逃したのだろうか。2013年のブランコのケースは、その年にバレンティンが日本記録となる60本塁打を放ったという結果を考慮しなければならない。

 2割台の打率で二冠に輝いた選手は、長距離打者としての典型的な成績で、打率を捨てて長打を狙った結果だということに、疑いの余地はないように思われる。ここではひとまず、ブランコを含めた「惜しかった二冠王」5選手だけで考えてみる。

 

三冠王とは勝負したくない投手心理?

 その前に、投手の心理を考えてみると、三冠王を獲る打者とはどのような打者なのかがわかるかもしれない。

 もし自分が投手なら、「三冠王との勝負はできるだけ避けたい。次の打者がそれほど怖くなかったら、その打者との勝負を選びたい」と、恐らくこう思うのではないだろうか。

 しかし、その次の打者が三冠王に負けず劣らず強打者であったなら、こう思うのではないだろうか。「三冠王にはきわどいコースを攻めた結果を歩かせても、次の打者も怖い」に変わるのではないだろうか。

 ここで私は、三冠王を獲るには、次の打者の成績も重要なのではないかと考えた。三冠王を獲るには後の打者の成績が重要と仮定して、2004年の松中と、それ以降の5人の「惜しかった二冠王」とでは、後の打者にどのような違いがあったのかを見ていくことにする。

 

◆注目すべきは次の打者の打撃成績

 ここで見てもらいたのが、次の表だ。ここでは、細かな数字はひとまず省き、三冠王松中、二冠王5選手、仮三冠王柳田のそれぞれ後を打つ選手の打撃三部門の成績を順位でまとめた。(内川の成績は2017年7月16日現在)

 

 

打率

ホームラン

打点

城島健司(04年)

.338(3位)

36(4位)

91(6位)

城島健司(05年)

.309(7位)

24(11位)

57(18位)

セギノール(06年)

.295(15位)

26(5位)

77(6位)

村田修一(12年)

.252(16位)

12(8位)

58(9位)

中村紀洋(13年)

.281(11位)

14(12位)

61(11位)

ロペス(16年)

.263(21位)

34(3位)

95(5位)

 2004年の松中の三冠王の影には、城島の打撃成績が大きく関わったのではないかと思われる。さきほどの投手心理に戻ると、「松中が怖いから城島で勝負しよう」とはなかなか思えないということである。

 その一方で、二冠王5選手の次打者は三部門の成績にそれぞれ落差がある。つまり、投手は三冠王に手が届きそうな打者を打席に迎えたとき「この打者は怖いから次の打者で勝負しよう」という場面が増えることが予想されるのだ。現に、2005年の松中(76四球パ1位)を筆頭に、各打者の四球数はリーグの上位にランクインしている。

 ということで、「次打者が負けず劣らず強打者であること」が三冠王を達成する諸要素のひとつであると考えることができる。

 前半戦折り返し時点で柳田のあとを打つ内川は、打率こそ上位につける(さすが内川)が、ホームランと打点でもう少しほかの打者と一線を画す成績がほしいのが、正直なところかもしれない。

 

◆どうやったら三冠王を獲れるかなんて、誰にもわからない

 だた、私は意図的に省いたが、実は2004年の松中の四球数は84でリーグ2位を記録し、十分勝負を避けられているのである。つまり、ここまで述べてきたように、勝負を避けられる場面を減らすことが三冠王を獲得する要因なのではないか?という仮説を十分には立証することができないのだ。

 ほかにも、二冠を獲得した打者の多くが、首位打者に手が届いていないという事実も考えなければならない。参考までに、打率を落とさないようにするには、四球などによりできるだけ打席数を減らすことが重要という理論を紹介しておく。つまり、多くの打者が打率がネックで三冠王を逃しているのではれば、本来は四球などにもっと焦点を当てなければならないが、こちらも意図的に省いた。

 ここまで展開しておきながら無責任かもしれないが、三冠王を獲れる条件など、机の上でどれだけ考えてもわからないということだ。

 ただ、柳田の三冠王獲得の裏には、打順組や投手心理など、さまざまな要因が関係しているということは、恐らく間違っていないのではないだろうか。そのひとつの考察として、次の打者に注目するという視点があるのだということを念頭に置きながら、今後の柳田について各々考えてくれていただけたら幸いである。

侍ジャパンの次期監督

  7月11日、侍ジャパンの次期監督候補に、稲葉篤紀氏の名前が挙がった。

 稲葉は今年3月の第4回WBCや第1回WBSCプレミア12で日本代表の打撃コーチを務め、現役時代にも08年の北京五輪、09年と13年のWBCでも日本代表入りした経歴がある。

 前任の小久保裕紀氏が、これまでに指導者経験がないながらもWBCで日本代表を世界のトップレベルのチームに育て上げた実績がある。稲葉にも監督経験はないが、小久保と同様に最近まで選手だったことに加え、豊富な国際経験が評価され、今回、監督候補として白羽の矢が立ったということだろうか。

 ただ私個人としては、これで本当に稲葉が監督となったらと考えると、些か心配になってしまう。稲葉の監督としての可能性以前の問題として、やはり、代表を背負う監督という職業は、数多くいる監督の中でも、トップ中のトップでなければ務まらないのではないかと、やはり考えてしまうのだ。

 今回は、ここ最近の日本代表で監督を務めてきた人物の傾向から、次の国際大会で日本代表を世界一へ導いてくれる要素を考察し、その上で私が選ぶ次期監督を勝手に推薦したいと思う。

 

◆ここ最近の日本代表監督

 はじめに、ここ最近の日本代表の国際大会での成績と当時の監督を紹介する。以下に、それらを簡易的にまとめた表がある。

年代

大会

監督(就任時年齢)

成績

2017年

第4回WBC

小久保裕紀

ベスト4

2015年

第1回プレミア12

小久保裕紀(41)

3位

2013年

第3回WBC

山本浩二(65)

ベスト4

2009

第2回WBC

原辰徳(50)

優勝

2008年

北京五輪

星野仙一(60)

4位

2006

第1回WBC

王貞治(65)

優勝

2004年

アテネ五輪

中畑清(50)

3位

 

 日本は現在、WBSCがまとめる世界ランキングで1位だ。それにも関わらず、2009年の第2回WBC以降、日本は国際大会で優勝を逃している。

 やはり、こうしてみると王貞治原辰徳両監督の功績が目立つ。人気も実力も兼ね備えた日本が誇るスーパースターが集結し、そのスター軍団を率いるカリスマ性を持った両監督だったように、当時を振り返って思う。しかし、だからと言って優勝を逃した代表監督がそうではなかったというわけではない。問題なのは、彼らがどのような状況下で監督に就任したかということだ。

 

◆優勝を逃した4監督の共通点

 先ほど述べたように、第1回プレミア12と第4回WBCを率いた小久保監督は、監督経験がない。

 ベスト4に終わった第3回WBCを率いた山本浩二監督は1991年にリーグ優勝の経験はあるものの優勝経験はそれのみで、さらに、2005年以降監督業から遠ざかっている。

 4位に終わった2008年の北京五輪で監督を務めた星野仙一は、それまで3度のリーグ優勝を果たすも、2003年を最後に監督業から離れている。

 銅メダルに終わったアテネ五輪を率いた中畑清も、それまで監督としての経験はなかった。ただ、これは長嶋茂雄の離脱による代理監督だったので、配慮の余地があるように思われる。

 ここまでみてきたように、優勝を逃した監督は、①現役の監督ではない中での就任だった②少なくとも5年間は優勝経験がないという2つの点があった。

 

王貞治原辰徳にみられる5つの共通点

 話を王貞治原辰徳に移す。

 王貞治は就任までに巨人とダイエーで4度のリーグ優勝と2度の日本一を経験している。さらに、2003年の日本一を含め、就任までの3シーズンで全てAクラスに入っている。

 原辰徳は就任までに3度のリーグ優勝と就任一年目で1度の日本一を果たしている。足掛け5シーズンでBクラスは2006年の一度しかなく、安定して好成績を収めていた。

 優勝を逃した監督とは違い、両監督とも①就任時に現役監督だった②就任時点で少なくとも5年の監督歴がある③就任時点で少なくとも1度は日本一を経験している。さらに細かな点を挙げると④監督通算勝率5割以上を記録している⑤50歳以上での代表監督就任という共通点もある。

 優勝が2度しかないので、サンプルとしては不十分だということは重々承知している。それを念頭に、以下、ここまでの歴代監督の傾向をまとめた上で、ベストな監督の条件を整理する。

 ①代表監督就任時点で現役の監督であること

 ②代表監督就任時点で5年以上の監督経験があること

 ③代表監督就任時点で直近5年以内で日本一を経験していること

 ④代表監督就任時点で勝率が5割を上回っていること

 ⑤代表監督就任時点で50歳以上であること

 

◆現時点で最も適任なのは栗山英樹監督?

 それを踏まえ、実際に誰が侍ジャパンの監督として、「傾向上」適任なのかをみていく。

 現時点で監督は12人いる。条件①として、この12人の中から選ぶこととする。次にこの12人の中で5年以上の監督歴がある人物をピックアップする。この時点で残るのは、日ハムの栗山英樹監督、ロッテの伊東勤監督、楽天梨田昌孝監督の3人に絞られる。この3人で直近5年以内に日本一を達成しているのは、栗山監督になる。なお、伊藤監督は2004年にリーグ優勝、梨田監督は2001年と2009年にリーグ優勝を経験している。勝率については、昨シーズンまでで考えると3人とも5割以上の勝率を記録し、その中でも栗山監督は勝率.541でトップだった。年齢については、全員50歳を超えている。

 

 結論が導き出された。5つの条件に当てはまる人物は、北海道日本ハムファイターズ栗山英樹監督だ。次鋒として梨田、伊東監督が挙がるが、今シーズンの成績から見るに、梨田監督が一歩リードだろうか。

 

 私が勝手に侍ジャパンの次期監督として推薦するのは、栗山監督ということで、筆をおくことにするが、今回の監督人選がどのような結果になっても、野球ファンとして、ただ純粋に、ひたむきに応援するだけだ。

 監督経験のない小久保が健闘したように、稲葉もやってくれるかもしれない。

 日本プロ野球が再び世界一の栄冠を手にする日が戻ってきてくれることを祈るばかりである。

 

敵の敵は味方

 

 6月26日、オールスター戦のファン投票の最終結果が発表された。

 パ・リーグ指名打者部門で大谷翔平が選出されたことに、いま、議論が湧き上がっている。

 私は、悲しくなった。純粋に野球を好きなファンに対して批判的な意見を述べなければならないことに。

 正義と正義のぶつかり合い。己の正義のために他人の正義を批判しなくてはいけない、そんな状況が悲しい。

 しかし、今回の大谷の選出は現在のプロ野球界を象徴する現象であり、それに端を発する議論は現行のプロ野球規定を再検討するきっかけなのだと思う。この出来事が今後の野球界の発展につながることを願い、心苦しいがこの議論に参加させていただきたく思う。

 

◆現行のオールスター戦の選出規定

 大谷翔平のファン投票選出の話に移る前に、今回の議論の中で要点される現在のオールスター戦、及びそれに付随するプロ野球の規定について簡単に説明したい。

 選手はセ、パともにそれぞれ守備位置ごと(投手は先発・中継ぎ・抑えでそれぞれ選出し、パ・リーグについては指名打者が選出対象に加わる)、ファンによる投票が行われる。それぞれのリーグと守備位置の中で最多得票を集めた選手がファン投票による出場枠で選出される。ファン投票による出場資格は、「ファン投票終了後の6月18日に、投手として5試合以上登板または10投球回以上、野手として10試合以上出場または20打席以上」の選手に与えられる。なお、選手間投票を含め、オールスター戦の出場を辞退した選手は、後半戦の開幕10試合は出場停止の処分が下される。

 これが今回の議論でぜひ念頭に置いていただきたい規定になる。

 これらを踏まえ、大谷翔平のファン投票選出について、具体的にどういった議論が展開されているのかをみていく。

 

プロ野球選手をアイドル化する、民度の低いファン?

 まず紹介する理論を展開する野球ファンとA氏とする。

 A氏は、大谷のこの選出結果について、「プロ野球ファンの民度が問われてしまう」と表現した。大谷にはファン選出される前まで4月8日を最後に試合出場がなく、そのため選手されるに値する成績を残せていないとし、成績ではなく人気が先行した結果についてA氏は「アイドルの人気投票」と苦言を呈した。

 さらにA氏は、こういった「アイドルの人気投票」になっている選出結果を糾弾しないマスコミにまでその批判対象を広げている。

 

◆批判すべきはファンではなく、現行のルール

 次に、A氏の意見と対照的な理論を展開するB氏の意見を紹介する。

 B氏はまず、過去の反省すべき選出事例を紹介した上で、現在定められている選出制度上、大谷には十分出場資格があると述べた。そうである以上、問われるべきはファンの民度やマスコミではなく、この選出規定にあると、A氏とは異なった理論を展開している。

 また、B氏はファン投票を「そのポジションでもっとも秀でた成績を残している選手を各自が独自の視点で選ぶことが基本」とする一方、A氏はファン投票を「実力・実績の多寡によって決めるもの」ではなく、「実力や実績に縛られない投票」、つまり「見たい選手を選ぶ」ものだと捉える。

 最後にB氏はA氏の理論を「ファン投票を『アイドルの人気投票』と揶揄する人こそ、エンターテインメントの本質を理解していない『民度の低い野球評論家』」と批判し、その報告を終えた。

 

◆一番イヤなのは、野球がなくなってしまうこと

 確かに、オールスター戦という舞台は、プロ中のプロ、選ばれし精鋭集団のみに与えられるものだと考えるなら、成績を重視した選出方法をとるべきだというA氏の理論は十分に理解ができる。

 しかし、それで本当に良いのだろうか。言い換えると、それで本当にプロ野球は成立するのだろうか。

 私はB氏の意見に賛同し、生越ながらB氏の意見に補足させていただいた上で、私が考える現状の制度における問題点を紹介したい。

 

 まずもって、私が考えるオールスターの出場選手とは、B氏と同様、「ファンが見たいと思う選手」だと思う。今年の出場実績が乏しい大谷が選ばれても、ファンが大谷を見たいというのなら、大谷にはオールスターに出場する資格があるのだ、と私は思う。

 だって、大谷が出れば盛り上がるでしょ。野球を好きじゃない人でも、大谷のことを知っている人は多いでしょ。そんな人が野球に関心を向けてくれるなら、いいじゃない、それで。古参の野球ファン、正統派野球ファンは、カープ女子やオリ姫がいるから女性の野球ファンが増えているという現実をそろそろしっかり受け止めた方がいいと思う。大谷に投票した44万7000人の野球ファンが、もし全員野球のことが嫌いになってしまったら、と考えると背筋が凍る。そんなミーハーで、選手をアイドルとしてみる、B氏の言葉を借りれば「民度」の低いファンがいるからこそ、いま野球に新しい価値観が生まれ始めているのだと思う。

 時代は日々動いているのだ。その時代の流れを読めず、新しい価値を批判し、いつまでも前時代的な価値観に固執しているという状況は、いつか野球界全体の衰退をもたらす。

 私は、ミーハーな野球ファンは十分イヤなのだが、そもそも野球がなくなってしまうのが一番イヤなのだ。

 私は仕事柄、日々のトレンドや大衆性に触れる機会が多い。今の野球界の現状を受け入れないことには、その未来は途絶える。視聴率が低い番組は、長寿番組でも改変対象になるのだ。気づいた時にはもう遅いのだ。

 

◆本当に批判すべきは?

 その上で私が疑問に感じるのは、ファンの民度ではなく、B氏と同様の規定に対してである。ただ、B氏の展開するそれとは疑問の矛先が違う。私は、オールスターを辞退した選手は後半戦の開幕から10試合の出場停止というルールに違和感を抱くことを禁じえないのだ。

 ここまで、ファン投票と選手間投票の結果がすでに発表されている。選出された選手の中には、怪我やコンデション不良により万全な状態で出場できない選手がいる。ここで無理をして出場を辞退すると、後半戦のスタートダッシュに支障をきたす。だから無理して出る。これでいいのか、オールスター。いいわけないだろ、プロ野球

 B氏が出場資格規定について苦言を呈すなら、私は辞退した際の規定について苦言を呈したい。

 

 ただ、ここまできていうのもなんだが、私はA氏を批判したいわけではないのだ。むしろ、A氏は正統派野球ファンとして賞賛すべきだとも思う。

 だから、最後に私は「民度の低い野球ファン」に言いたい。私にここまでA氏を批判させておきながら、そのくせすぐに野球への関心を捨ててしまうようなことがあれば、私はあなた方を即刻敵とみなす。

 その際は、「お前らの民度は創設初年度の楽天の順位よりも低い」と、私は声を大にして言いたい。

 だからお願いします。これからも野球、プロ野球選手を楽しんでください。

 そして、プロ野球関係者に言いたい。そんなファンが一人でも多く増えるような環境整備を、一刻も早く進めてください、と。